就職すると親の扶養から外れて
勤務先の健康保険に加入する

 日本では、国籍に関係なく、この国で暮らしている全ての人に、公的な医療保険に加入することを義務付けている。毎月、所得に応じた保険料を負担することで、病気やケガをしたときは、かかった医療費の一部を支払うだけで必要な医療を受けられる仕組みになっている。

 加入先は職業や年齢によって異なり、 (1)企業や団体に雇用されている人が加入する「被用者保険」、(2)それぞれの地域が住民を対象に運営している「地域保険」に大別される。

 具体的な加入先は、主に次の6つだ。

(1)被用者保険⇒企業や団体に雇用されている労働者が加入する公的医療保険

組合管掌健康保険(組合健保)
主に大企業で働く被用者(労働者)が加入する健康保険。従業員数700人以上の企業が独自に運営するもので、同じ業種の企業が複数集まって共同運営するケースもある。

全国健康保険協会(協会けんぽ)
主に中小企業で働く被用者(労働者)が加入する健康保険。組合健保を持っていない企業(従業員数が常時5人以上)の従業員を対象としたもの。

共済組合
公務員と私立学校の教職員を対象とした公的医療保険。大きく分けると、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済がある。

(2)地域保険⇒地方自治体等が運営している公的医療保険で、地域住民を対象にしている

国民健康保険
都道府県と市区町村が運営している公的医療保険。自営業者、フリーランス、非正規雇用、無職の人など、75歳未満で、被用者保険に加入していない全てを対象としている。

国民健康保険組合
 同業同種の自営業者が集まって運営している公的医療保険。土木建設国保、美容師国保、医師国保、芸能人国保、弁護士国保などがある。

後期高齢者医療制度
75歳以上の人を対象とした公的医療保険で、都道府県単位で運営されている。75歳になると、それまで加入していた公的医療保険を脱退し、全ての人が後期高齢者医療制度に移行する。

  このように、公的な医療保険は職業や年齢によって加入先が分かれているが、新社会人は勤務先に応じて、(1)の被用者保険のいずれかに加入することになる。企業や団体に就職せず、フリーランスで働く場合は国民健康保険に加入するが、ここでは協会けんぽに加入している人のケースで、健康保険の保障内容を見ていきたい。