富裕層 億万長者の実像#3Photo:PIXTA

個人投資家として約10年前に不動産投資を始め、今や東京都内を中心に100億円を超える不動産を保有する“不動産リッチ”の玉川陽介氏(コアプラス・アンド・アーキテクチャーズ代表)は、わずか500万円の融資の申し込みでも金融機関に断られることが実に9割に及ぶという。なぜか。特集『富裕層 億万長者の実像』の#3では、玉川氏が融資の現場で実際に経験した銀行や信用金庫とのやりとりを振り返り、金融機関の「お役所対応」に物申す。

ルール優先、顧客の言い分は二の次
「こんな金融機関は嫌だ!」

 銀行の融資とは、社長の人柄、将来性、財務を総合的に判断し、信用できる先に貸すものだ。多くの人はそう思うだろう。金融庁はこれらの要素を考慮して事業性に基づいた融資をすることを推進しており、本来的にはそうあるべきだ。

 しかし、実際には融資の現場において事業性を考慮して貸し出すことはまれである。そこでは金融機関のルールが優先され、顧客の言い分は二の次となることが多い。ルールとは財務や資金使途だが、これらの基準は実際の返済能力と大きく懸け離れていることが少なくない。

 また、金融機関が貸したい「旬」の業種が決まっていることもある。それらの要件に合致しなければ500万円すら借りられないことも珍しくない。

 その理由は、民間の感覚とは懸け離れた「お役所的な意識」がいまだに残っているからだ。

 筆者はこれまで80以上の金融機関と取引してきた。その現場で実際に見聞きした体験談を基に、金融機関の問題点を指摘したい。次ページで詳細を明らかにしていく。