また分譲マンションは、上下左右の住戸が断熱層の役割を果たしており、すべての面が外に面している戸建よりも断熱上有利である。共用廊下が内廊下ならば、立方体6面のうち、外に面しているのはリビングや寝室の1面しかない場合も多い。
その点戸建は、最も熱が逃げてしまいやすい窓・サッシに関してみると、二重以上のサッシまたは複層ガラスの窓がついている確率が、分譲マンションの27%と比べて41%と高い(住宅・土地統計調査)。家の仕様についてはクオリティが高いが、なにぶん外気に接している面が多すぎるのが難点だ。
そして、総じて戸建が冬に寒いことは数字でも証明できる。UA値と言う断熱の度合いを示す数値がある。これは、数値が大きいほど単純に熱が逃げやすい状態を表しており、部屋は寒くなり、暖房は効かなくなる。これまでマンションの多くは0.9台で、戸建は1.5以上が多かった。マンションは東京都環境局に提出された数値からわかる。戸建はこれまでの省エネ推奨基準が1.57だったので、これ以上のパフォーマンスは期待できない。
マンションでも
断熱性が十分とは言えない
とはいえ、総じて戸建より優れているマンションも、それほど断熱性能が高いわけではない。たとえば筆者は、自宅マンションの室温を計ってみたことがある。結果は、リビングテーブル付近が24.3度、床暖房付近25.5度、寝室ベッド19.7度、寝室窓際18.5度、お風呂場・洗面台・玄関・廊下はほぼ19度台だった。
室内の温度が場所によって2度違うと人は不快に感じ、5度違うと不健康になると言われている。筆者が寒がりなのかもしれないが、冬は室内でも寒さ対策のために常にマフラーをし、軽いダウンジャケットを着て過ごすことも多い。実は、マンションでもその程度の断熱性能しかないのだ。