実はこの合計の値で、入力したカード番号が正しいかどうかを判断することができます。合計が10の倍数なら入力が正しく、10の倍数ではないなら間違っているとわかるのです。つまり、この番号は間違いですね。

 そこで今度は「4541 1012 3456 7893」いう番号を入力すると、合計が「70」となり、正しい番号であると判定されます。先ほどの番号と見比べると、2番目の桁の入力が間違っていたのですね。

 もちろん、入力した番号が間違っていたとしても、合計が10の倍数になってしまう、つまり正しいと判断されてしまう可能性は0ではありません。ただ、それが起こる確率はかなり低いため、実際にこのような方法が採用されているのです。

※編集部注/カード番号の15桁目までは一般的にカード発行会社が決めており、最後の16桁目(チェック・デジットと呼ばれる)にて、ルーンアルゴリズムに合致する(=全桁に上記の操作を実施したときに10の倍数になる)ような数字をあてがっています。

P56 表2同書より 拡大画像表示

 今回はクレジットカードを例に、入力された番号が正しいかを判定する方法を紹介しましたが、ほかにも商品を買うときに読み込むバーコード(JANコード)にもこれと似た方法が採用されています。

 算数・数学と聞くと、難解な記号や数字が並んでいて無味乾燥なイメージを持つ方が多いと思いますが、今回のように正しい/間違いの「判定」にも応用されるなど、人間の行動をサポートしてくれる一面を持っているのです。

折り紙一枚と巻き尺と数学があれば
なんだって測れてしまう

 数学は、自分よりもスケールの大きいものを調べたいときにも活用できます。

 例えば「美術館やオフィスのエントランスなど、高層建築物の天井の高さ」を測りたいとしましょう。高度な機器を使わずに、床から天井までの距離を計測するにはどのような方法があるでしょうか。前提として、巻き尺は使えることにします。

 まずは、風船と糸を使う原始的な方法から紹介します。すでに予想がついているかもしれませんが、その通り、風船に糸を括りつけて天井まで飛ばす方法です。空気だとなかなか天井までは飛ばないので、遊園地で売られているように、中にヘリウムガスを入れれば解決です。

 風船が天井に着いたら、床と接地している箇所で糸をカット。そして風船を回収し糸の長さを計測すれば、おおよその天井の高さがわかります(風船分の長さも加えた方がより正確です)。