次に、少し数学を使う方法を紹介します。なんと、用意するものは折り紙1枚のみ。まずは折り紙を対角線で半分に折り、三角形(正確には直角二等辺三角形)を作ります(図1)。そして図2のように、三角形の辺BCが床と平行になるように手で持ちます。

 その後、角Cを目の位置まで近づけ、辺ACの延長線上に「天井と壁の境目」が来るまで、床との平行を保ったまま壁際から中央に向かって移動します。最後に、「壁から止まった位置までの長さ(B’C)」と「目から床までの長さ(B’H)」を計測して合計すると、それが天井の高さになっています。

P60 図1同書より 拡大画像表示
P61 図2同書より 拡大画像表示

身の回りにある数字を知るほどに
数学が楽しくなっていくかも?

 ざっくりと理由を説明しましょう。折り紙で折った三角形の形に注目します。この形は直角二等辺三角形といい、その名の通り2つの辺ABとBCが等しい長さになっています。

 次に大きな三角形A’B’Cに注目すると、実はこの三角形も直角二等辺三角形。これは、折り紙を床と平行に持っていることにより、折り紙の三角形と「形」が同じになっているからです。数学の用語では、この大小二つの三角形の関係を「相似」と呼びます。

 求めたいのは天井の高さだったので、これをA’B’とB’Hに分けて考えます。まず、A’B’は先ほどの理由によりB’C、つまり壁から止まった位置までの長さと同じになります。残りのB’Hは目から床までの長さですね。すると、B’CもB’Hも巻き尺で計測できるので、両者を合計すれば天井の高さになるわけです。

 天井の高さを計測する方法を2つ紹介しました。原始的な方法と、ちょっぴり数学を使う方法がありましたが、どちらが好みでしょうか。本当にそうなるのか、ぜひ実践してみてください。

 ここまで、身の回りにあるものに潜む数学を紹介してきました。大きなものからクレジットカードなど小さいもの、そして物の名前にまで、日常は数学であふれているということが伝わったでしょうか。

 これまで意識して見ていなかっただけで、数学は身の回りにたくさんありました。そこに気がついたなら、数学を楽しむコツをつかみはじめたと言えるかもしれません。