生保・損保・代理店の正念場#28Photo by Yoshihisa Wada

ブランド名を明治安田として、「生命」を取るという決断をした明治安田生命保険。特集『生保・損保・代理店の正念場』(全31回)の#28では、業界に先駆けて営業職員の報酬を固定給化するなど、ここ数年、思い切った改革を進めている同社の永島英器社長に話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

ブランド名から「生命」を取ったが
生命保険重視は変わらない

──他社は異業種を買収し、非保険領域へ進出しています。以前から事業領域やチャネルの拡大に慎重ですが、方針に変更はありますか。

 M&A(企業の合併・買収)という手段や選択肢を排除しているわけではありません。大事なことは、社会的価値を創造することによって、地域やお客さまに選ばれ続けること。それは、M&Aによって他社を傘下に収めないとできないことではありません。

 その志が、明治安田生命から「生命」を取った、「明治安田」というブランド名称を使うことにつながっています。誤解していただきたくないのが、生命保険を重視しないということではありません。

 生命保険は、一人一人がささやかな幸せを持続可能にするための相互扶助の一つの形態です。私たちにとって生命保険は今後も重要ですが、2024年4月から始まる新中期経営計画では、「生命保険会社の役割を超える」ことをテーマにしています。

 今までは保険金・給付金のお支払いという経済的な価値によって安心をお届けしてきたわけですが、それに加えて健康や絆などの社会的価値を創造することで、より大きな安心をお届けしたいと思っています。

明治安田生命保険は、M&Aや販売経路拡大のための子会社設立など、同業他社が積極的に進める戦略とは距離を置いている。一方で、営業職員の待遇や評価制度については、業界に先駆けて取り組んできた。非保険分野への進出が業界トレンドとなる中で、同社の永島英器社長はどのように次の一手を考えているのか。次ページで詳しく話を聞いた。