生保・損保・代理店の正念場#26Photo by Yoshihisa Wada

2020年に発覚した金銭不正取得事案の反省から、競合他社がコロナ禍からの回復を急ぐ中、慎重な姿勢を崩すことなく抑制的な営業活動を続ける第一生命保険。特集『生保・損保・代理店の正念場』(全31回)の#26で、足元の営業体制や、第一生命ホールディングスが買収したベネフィット・ワンのグループ内での位置付けなどについて、話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

慎重に再開させた営業活動
営業職員の採用数は増加傾向

──営業職員チャネルはコロナ禍からの回復スピードが他社と比べ遅いようですが、どう挽回しますか。

 コロナ禍に加え、不祥事の影響で2~3年間抑制的に行っていた営業を再始動させるには時間がかかります。急いで以前の状態に戻すのではなく、体制を整えながら慎重に営業活動に取り組んでいる影響もあります。

 一方で採用数は徐々に回復しており、4月に入社した人数は1000人を超えました。2024年度は4000~5000人程度採用できるでしょう。13カ月目の営業職員の在籍率を見ると、コロナ禍前は74%程度でしたが、直近は87%程度まで改善しています。生命保険の営業として信念を持って取り組む人を採用し、定着させることができ始めています。

――教育・育成制度については、どのようなところを変えたのでしょうか。

 社会保障制度についての教育を特に充実させています。やはり、その上に民間が提供する保険がありますので。また資産形成と承継についても、多くのお客さまが直面しているテーマでもありますので力を入れています。理念教育についても同様です。

 最初の5年間は給与が安定していますし、しかもその水準を引き上げています。腰を据えてしっかり勉強してもらっています。

新型コロナウイルス感染症のまん延で、営業職員の対面による保険の販売・契約とコンサルティングを行ってきた生命保険会社は、まともに営業ができず大打撃を受けた。第一生命保険はそれに加え、20年10月にベテラン営業職員による金銭不正取得事件が発覚し、営業面では業界他社以上に逆風を受けていた。23年4月に就任した同社の隅野俊亮社長は、他社に後れを取る営業成績をどう挽回するのか、話を聞いた。