中国で「請求書」とは
願い事の実現を請う文書

 例えば、中国出身の外国籍社員Bさんは、「請求書」という言葉について、次のように話してくれました。

「電話相手から『先日、弊社が発注した商品の請求書をすぐに発行して、郵送していただけないでしょうか。』と言われました。自分の母国語である中国語にも、同じ『請求書』という言葉はありますが、中国語では、希望を述べてぜひ実現させて下さいと頭を下げて相手に頼む時に書く文書のことを指します。結局、そのお客様がおっしゃった『請求書』をすぐに発行できず、クレームが来ました……。」

 このように、日本語と母国語に同じ言葉があっても、それぞれの意味や使い方の違いがよく分からないと、トラブルを起こしたり、支障が出たりしてしまいます。

「検討の上で回答します」を
信じて待っていたのに……

場面2 交渉や商談の時

 お客様を相手に商談をする際に、敬語のような、人間関係やその場にふさわしい気遣いを表す言葉、または遠回しな言い方を正しく使い分けたり、理解したりすることに困ってしまう外国籍社員がたくさんいます。

 例えば、外国籍社員のCさんは、次のように話してくれました。

「商談相手のお客様に、『一旦、持ち帰らせていただきまして、検討の上で、回答させていただきます。』と言われた時、この時の発言意図が場合により遠回しの断りだとは分からなかったのです。本当にお客様がその案件を持ち帰って真剣に考えてくれて、その結果も知らせてくれると信じていました。

 結局、何日待っても返事がなかったから、こちらから電話をかけて聞いてみたら、『大変申し訳ございませんが、あの案件は、先日の商談で難しいと感じておりました。』と言われてショックでした。」

 このように、日本語の遠回しな言い方をよく理解できないと、お客様との交渉や商談に悪い影響を与えたり、場合によっては、信頼関係に傷が付いたりすることもあります。