前回、ずっと書きたかった外国語ネタを出し終え、すがすがシカオな気分になったところで今回も、連載当初から満を持していた話でいってみます。
僕は思考法、発想法から、仕事・生き方について書いたり話したりするとき、いつもこう提示します。「ライフハック的やりかたに頼っていると地アタマが良くならない」「思考的な遠回りをして自分なりの公式を定着させよう」。つまり、何に立ち向かうときでもラクをするなと。そのよろしくない生き方の典型として特に強調するのが「アンチョコ」を使うもんじゃないですよ、ということ。
……にもかかわらず! いまから紹介するものは、そんな理念と真っ向正反対な代物。しかも僕が作り僕が日常使っているという堂々たる、「ダジャレのアンチョコ」なのです!
ではまず、四の五の言わずに現物をご覧いただきましょう。
ダジャレ界において
日本語の並びはヨコ!
なんだ、たんなる五十音表じゃねえか、そう思った方も多いでしょう。しかしよーく見てください。文字間(タテ方向)=<あ>と<い>の空きが広いでしょ? そして行間(ヨコ方向)、<あ>と<か>の空きは、タテと同じぐらい。通常の五十音表は、ぎゅっと詰まった文字間に比べて行間のほうがかなり大きく空いているもの。だって、普通はタテに読んでいくわけですから。
しかし、ダジャレ界において日本語の重要な並びは、タテではなくヨコ! 子音が変わっていくパターンもあるにはありますが、作りやすさ、生み出される数として、母音交換が圧倒的に多いのですから。
よって、ダジャレビギナーであるほど、まずは、目を付けた言葉(素材語)の中の1文字をピックアップし、同じ母音でヨコにズラして考えるのが早道。このあたりについては、連載第4回「まず押さえたいダジャレスキル基本のキは“子音交換”頭かお尻を“サイドステップ”で横にズラしていく」で詳しく解説していますから、そちらを井伏鱒二に…いや、サンショウウオに…いや、参照に。
この横ズラシを効率良くちゃちゃっと実行するために、このアンチョコが有効なのです。視覚が思考に及ぼす影響の大きさは語るまでもないでしょう。日本語をタテ列として意識せず、母音の段として視覚に入れてしまうのです。再度、画像を見てください。母音の段ごとに色分けをしているのがポイントです。こうやることで、するするーっと横に視線が流れます。