「市教委や各校の校長が、自分たちのつてを頼って必死に電話をかけまくっているんです。教員もそれに協力している、というのが実情です」

 ただし、たとえば定年後の教員にフルタイムの臨時講師を打診しても、「現役同様のキツい仕事になるのはちょっと……」と、断られる場合が多いという。

団塊世代の大量退職を想定せず

 近年、教員の長時間労働が話題に上ることが増え、「ブラックな職場」と捉える向きも増えた。それが教員の不人気の原因であるように語られることが少なくない。

 内藤さんは「一理ある」としつつも、違和感を覚えるという。

「現在の教員不足の根本的な原因は、団塊世代の大量退職を想定して就職氷河期に次の世代の教員を充足してこなかった、長期的な見通しの甘さがあると思います」

 そして、現在進行形で教員不足が語られる一方、今後、正規教員の採用数は減っていく見込みだ。

「少子化で、子どもの数も学校数も減っていくでしょう。教員不足は今がピークで、しばらくすれば教員は余り始める。それまでの間、僕らは放置される気がしてなりません」

「欠員をつくれない」で切迫流産

 大学教授らでつくるグループ「#教員不足をなくそう緊急アクション」は、先月、教員不足についてのアンケート結果(2023年度実施)を公表した。

そこには教師たちの悲痛な声が綴られている。

「教頭と教務主任が担任に入り、この2人の残業時間が100時間を超えた。そして教頭が病休に入った」(青森県・中学校正規教員)

「教務主任が担任を兼任。学年主任としてこのクラスをフォローしましたが、不登校やトラブルが多く大変でした。事務作業や会計、成績処理、所見記入も全て2クラスぶん担当しました。それでも仕事が終わらず保育園児のわが子を連れて土日出勤。これが2年続き、限界を感じて退職しました」(神奈川県・小学校臨時講師)