「夏休み明け、すでに1人欠員状態で妊娠がわかりました。つわりで吐き気と戦いながらも、欠員を2人にしてはいけないと思い、すごく休みにくかった。頑張ってしまった結果、切迫流産で入院。代わりの担任は来ず、教務主任が担任をしてくれましたが、学校全体に迷惑をかけて申しわけなかった」(京都府・小学校正規教員)
「臨時講師です。正規の穴をしっかり埋めています。学級担任もしています。部活の顧問もしています。しかし、確定した契約は3月末までしかありません。講師のなり手がいないと常に耳にしますが、この待遇なので当然です」(石川県・中学校臨時講師)
あと数年耐えれば何とかなる?
教育行政学が専門の日本大学文理学部の末冨芳(かおり)教授は、教員不足を引き起こす要因は複数あるが、最大の要因を「劣悪な職場環境」と指摘する。現場で働き方改革が進まなければ教員志望者は増えず、根本的な解決にはならないという。
「学校が選ばれる職場になることが最優先です。教員の給料を上げたり、手当を増やしたりするだけでなく、職場の働き方改革なしには人は戻ってきません」
ただ、それまでに現在の教員不足を乗り越えなければならない。
「たとえば5年間、臨時講師や定年退職者の再任用の待遇を大幅に引き上げて、教員数を増やす。都市部であれば、教員免許を持った塾の講師に学校の教員を務めてもらうとか」
15年の日本の出生数は100万5677人だったが、その後、急激に減少し、22年には80万人を割り込んだ。
「小学校の教員不足であれば、あと数年耐えれば何とかなる見通しです」
しかし、教員不足のしわ寄せは結局、子どもたちにいく。学校で学ぶ子どもたちに「数年後に解決するから、それまで我慢して」とは言えない。
「なので、教員不足を解消するためにこの数年間は積極的に再任用の教員や臨時講師に向けた予算をつけましょう、と政府に提言しています」
待ったなしの即効性のある対策が求められている。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)
※AERA dot.より転載