男性の方が
重症化しやすいのは、なぜ? 

ゲリラ豪雨、爆弾低気圧…異常気象でますます増えている「気象病」の症状と予防法<br />久手堅 司 せたがや内科・神経内科クリニック院長

 久手堅先生のクリニックでは7対3の割合で女性患者が多いが、男性は重症化しやすい傾向があるという。

「女性は、月経によりホルモンバランスが周期的に変わることで、普段から体内リズムの乱れに敏感で、異常を感じたらクリニックに通う、薬を飲む、静かに過ごすなど、自分で気をつけることが多いです。ところが男性は、症状があっても我慢して、不調に目をつぶってしまう傾向があります。放ってしまうことで、重症化するのです」

 気象病が厄介なのは、どんなにつらくても、病気として認められていないこと。

「現状では、気象病は正式な病名ではなく、体の不調の総称です。まずはセルフチェックして、気象病外来などを受診することをお勧めします」

 どんよりした曇りの日や、雨が降ったり台風が来たりする前や最中に体調が悪くなったり気分が落ち込んだりする人は、気象病予備軍または、すでに気象病にかかっていると考えていい。

 そもそも、なぜ天気の変化によって体の調子が悪くなるのだろうか。

「頭が痛くなってきたから、天気が崩れる」「古傷が痛みだしたから、もうすぐ雨になる」と気象予報士さながらに天気の変化を当てられるのが、気象病の人たち。天気でこうした不調が起こる原因は、「気圧の変化」にある。

「気圧とは、空気の重さによってかかる圧力のこと。普段でも15トンの圧力が、私たちの体にかかっていて、この力に押しつぶされないように、体の内側から押し返しています」

 飛行機や山頂などで、お菓子の袋がパンパンに膨らんでいるのを見たことがあるだろう。高い場所では気圧は低くなり、袋の外の空気よりも内側から押し返す力が大きくなることで、袋が膨らんでしまう。    

 実は、これと同じことが私たちの体でも起きている。気圧が下がれば、それに合わせて内側から押し返す力も変化する。体が(お菓子の袋のように)膨らんだりしぼんだりしないように、自律神経が圧力の調整を行っているが、急激な気圧の変化が起こると自律神経の調整が間に合わず、気象病の症状が現れるのだ。