高層マンション10階以上の住民は
気象病にご用心

 さらに、天気だけではなく、住居や働く場所によっても気象病は引き起こされる可能性がある。

「高層ビルでは、10階で気圧が約5ヘクトパスカル下がります。例えば、自宅が高層マンションの10階以上で、地下鉄を使って、高層ビルの10階以上の会社に勤務している人は、1日に何回も気圧の変化を受けているので、体への負担はとても大きいわけです。頻繁に飛行機での日帰り出張がある人なども同様です」

 自分の体がそんな状態を1日に何回も繰り返してお菓子の袋にようになっているとしたら、恐ろしい。気になるのが、高層マンションに暮らす子どもたちへの影響。大人同様、気圧の変化を受けるのだろうか。

「子どもでも気象病になることはあります。気圧の変化を受けやすくなるのは、小学校高学年くらいからです。しかも、お子さんが気象病の症状を訴える場合、両親のどちらかも気象病ということが多いです。特に高層マンションに引っ越したばかりなら、お子さんの様子に気をつけてほしいですね」

 最後に、先生が気象病の患者に教えている対策を教えてもらった。

 天候が崩れてきたなと感じたら、まずやってほしいのが、耳のグルグルマッサージ。天気の崩れを最初に感知するのが「内耳」。これは、内耳の血流をアップさせる効果がある。
 
 やり方は簡単。まず、両耳の横側を持って水平に伸ばす。次に片耳を斜めに上方向に引っ張り、同時にもう一つの耳は下方向に引っ張る。逆も同様に行う。そして両方の耳たぶを持ち、前に持ってきて5回、後ろに持ってきて5回大きく回す。

 デスクワークの人は1時間ごとに立ち上がって、大きく伸びをしたり、首を前後左右に傾けたりといったストレッチをするのも効果的。低気圧が来ているときは、意識的に行いたい。

「つらくてどうしようもないときは、横になって回復するのを待ちますが、長く横になったままだと回復するのが遅くなる傾向があります。2時間を目安にしましょう」
                    
 自分が気象病だと自覚したら、自律神経が乱れないように睡眠をしっかりとるなど規則正しい生活習慣を心掛けて、体調管理をしていこう。

(監修/せたがや内科・神経内科クリニック 久手堅 司)