外部記憶とは、頭の外に情報を蓄えておく、ということです。授業を受けるだけで、すべての情報を頭の中に記憶することはなかなか至難の業ですが、ノートに大切な情報を残しておけば、復習の時にその情報を使って、学び直すことができるのです。

 ただし、ここで考えなければならないのは「どの情報のメモを残すか」です。ノートのメモに関する研究では、重要な情報のメモを取ることが難しいと指摘されており、授業中の大事な情報の20~40%くらいしか取れていないとも言われています。先生が説明することをすべてメモすることはもちろんできませんし、そもそも書き取ることが授業の目的ではないので、そんなことはする必要もありません。むしろ、大切なことは、何が重要な情報かに注意を向けることです。

 具体的には、先生がどこを強調しているのかに注意しながら授業を受けたり、授業内容について疑問点がないか随時確認していくことが考えられます。

学習のための技術を学んだ者と
そうでない者の差を調べた

 ここでは説明を聞いたりしながら学ぶ時にどのような学習方略を使うとよいのかを調べた研究を紹介しておきましょう。

 この研究は、動画を見たり、インターネットを調べたりしながら勉強する「ハイパーメディア」と呼ばれる学習環境で学習をする時の学習方略と、その効果を分析した興味深い研究です。

 この研究では131名の大学生に人体の「循環系システム」について勉強してもらいました。血液、心臓、循環系システムなどに関する記事、写真、ハイパーリンクやイラストが用意されていて、45分間でこれらを自由に使って学習をしてもらいました。その時に、学習前に、内容を深く理解していくために必要な学習方略を教えるグループと、そうした指導をしないグループにわけました。これによって、学習方略や、内容の理解度に違いが出るのかを調べたのです。

 この研究のユニークな点は、学習をしている最中に、考えていることをすべて喋ってもらい、その内容から、学習者がどのような方略を使っているかを分析している点です(これまでの研究では質問項目に答えてもらうことが中心でした)。

 この研究方法は「発話思考法」と呼ばれます。発話の内容を分析した結果、この研究では、学習中に使われている学習方略は、図表1のように分類されました。