製作者が明かす
「自民党失言対策マニュアル」ができたワケ
そう聞くと「ずいぶんとこのマニュアルを持ち上げるじゃないか」と不思議に感じるだろうが、それにはちょっと個人的な事情がある。
実は「自民党失言対策マニュアル」とされているこの「文書」をつくったのは、この私だからだ。
いや、事実に基づいた言い方をすると、あれは「マニュアル」などではない。自民党本部で国会議員や秘書などを対象に行われた「パブリックスピーキング研修会」で、講師として招かれた私の講義資料をまとめたレジュメだ。
この記事の「著者プロフィール」にも書いてあるが、私は「報道対策アドバイザー」としてさまざまな企業や団体の危機管理に携わってきた。その中でも多いのが、公衆の面前で喋る機会の多い経営トップや有名人を対象とした「メディアトレーニング」というものだ。政治家も含めてこれまで300人くらいはトレーニングしてきた。
そういう実績もあって、自民党の研修にお声がかかったというワケだ。当時、自民党は「失言問題」に揺れていて、相次いで謝罪や役職の辞職に追い込まれるようになっていたので、えらいセンセイたちといえども、公での話し方や立ち振る舞いについて、改めてしっかりと注意をしてほしいという目的の研修だ。
そういう依頼を受けて、私から提案したのが「切り取り対策」だった。つまり、今回の上川大臣のような事態を回避する術だった。
では、具体的にどんなものか。「失言対策マニュアル」の元ネタである私の講義資料の中から抜粋して説明しよう。