「家のための働く」にしてはいけない

 たとえば、その夫婦が2人でその家に住むだけだったらまだいいでしょう。しかし、子どもが生まれたらどうでしょうか。

 そもそも産休で奥様の収入は下がりますし、その後育休にも入るでしょう。そうなれば、ご主人も育休を取りたいと言ってもそんな余裕はありません。その後も子どもを私立に行かせるとなればさらにお金はかかります。

 このように、ちゃんと夫婦でどのような人生を送っていきたいのか計画がないと住宅ローンの返済のために家族が振り回されてしまうことになるのです。

 せっかく子どもの成長を近くで見たいのに、その選択肢を強制的に選べないのだとしたら、一体なんのための家なのでしょうか。

 ですから、ペアローンを組む際は夫婦で入念に考え方をすり合わせましょう。私の経験上ですが、このときにはじめて「子どもは何人ほしい」「私立に通わせたい」「仕事はいつまで続けるのか」「どんなキャリアを歩みたいのか」を話し合う夫婦は多いです。少し気恥ずかしい気持ちもあるかもしれませんが、この話し合いがのちの何十年と続く生活の指針となるので、大切にしてください。

 おそらく、子どもの人数や教育方針などが決まれば、ペアローンをパンパンに組む人はかなり減るでしょう。仮に、物件の購入価格を伸ばすにしても、「自分たちのライフプラン的にはこのくらいお金をプールしておかなきゃね」と未来への準備ができるはずです。

 ペアローンに限らずですが、住宅ローンでとにかく覚えておいてほしいのは、皆さんが提示される「借りられる金額」と皆さんが幸せになるために「借りるべき金額」はまったく違うということです。

 皆さんが思っているよりも簡単に住宅ローンは組めます。だからこそ、このことがわかっていないと失敗に繋がってしまうので気をつけましょう。