テスラ日本法人が4月末、主力モデル「Model 3」「Model Y」の全グレードに対して「一律30万円」という大幅値下げを実施しました。その背景には、昨今の販売不振があります。先進的なクルマを投入してきたテスラが、ここにきて日本市場で苦戦している理由はどこにあるのでしょうか。クルマ事情に詳しい自動車ジャーナリストが考察します。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)
先進的なクルマが人気のはずが…
テスラ車の販売台数が急失速
米国のBEV(バッテリー式電気自動車)メーカー・テスラが、これまでの躍進から一転して苦戦を強いられています。
2024年1~3月期におけるテスラ車の世界販売台数は、前年同期比で約9%減の38万6810台にとどまりました。テスラ車の世界販売台数が四半期ベースで前年同期実績を下回るのは、実に約4年ぶりのことです。不振の要因としては、同社のドイツ工場が火災で生産停止を余儀なくされたことなどが報じられています。
テスラは日本でも苦戦しており、23年の販売台数は約5500台と、22年の約6000台から約8%減少しました。国内市場では「円安に伴う価格上昇」などが客離れを招いたと考えられているようです。
これを受けてか、テスラ日本法人は今年4月末、同社の主力モデル「Model 3」「Model Y」の全グレードに対して「一律30万円」という大幅値下げを実施しました。
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ですが、日本でテスラが失速している理由は、本当に円安だけなのでしょうか。また、この大幅値下げによって、テスラ車は人気を取り戻せるのでしょうか。今回は日本市場にテーマを絞って、テスラが失速した理由と今後の展望を考察していきます。