飲み会から1週間後、驚きの電話がかかってきた
なんと、「契約したい」との電話でした。
さらに驚きだったのが、その後の言葉です。
「じつは紹介したい人がいるんですが、受けてくれますか?」
予想外の言葉の連続に驚いていると、彼は続けてこう言いました。
「○○という企業は知っていますか?」
CMも連日見かけるような有名企業の名でした。
「当然です。有名企業ですよね」
「そこの代表です」
驚きで、最初は言葉の意味がわかりませんでした。
彼はその有名企業の経営者と個人的に親交があったそうです。
後日、その経営者をご紹介いただき、すんなりと契約が決まりました。
これが自分にとって人生初の、紹介で決まった契約でした。
その経営者は、なぜお客様を「紹介」してくれたのか?
「どうして僕みたいな新人営業に紹介してくれたんですか?」
契約を終えた後、彼にお礼を伝えに行き、聞いてみました。
すると彼は笑いながらこう言いました。
「だって私は、福島さんのファンですから」
僕は嬉しくて、その会社を出たときにちょっぴり泣いてしまいました。
あれだけお願いしても得られなかった紹介が、ついにもらえた。
楽しい会話をしただけで、仕事の話なんてほとんどしていないのに。
不思議な気持ちでいっぱいでしたが、後になって気づきました。
営業としてではなく、ひとりの人間として相手と向き合ったから「人」として信頼していただけたのだと。
素のままの自分で、ただ一緒に楽しい時間を過ごしたことで、その人は僕の「ファンになった」と言ってくれました。
そして他のお客様を紹介してくださいました。
この出来事によって、確信しました。
「営業としてお客様を探すよりも、いち個人として出会った人にお客様になってもらうほうが確実だ」と。
(本稿は、『記憶に残る人になるートップ営業がやっている本物の信頼を得る12のルール』から一部抜粋した内容です。)
「福島靖事務所」代表。経営・営業コンサルティング、事業開発、講演、セミナー等を請け負う。高校時代は友人が一人もおらず、「俳優になる」ことを口実に18歳で逃げ出すように上京。居酒屋店員やバーテンダーなどフリーター生活を経て、24歳でザ・リッツ・カールトン東京に入社。同社が大切にするホスピタリティを体現し、6年間で約6,000人のお客様に名前を尋ねられるほどの「記憶に残る接客術」を身につける。31歳でアメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッドに入社し、法人営業を担当。当初は営業成績最下位だったが、リッツ・カールトン時代に大切にしていた「記憶に残る」という在り方を実践したことで、1年で紹介数、顧客満足度、ともに全国1位に。その後、全営業の上位5%にあたるシニア・セールス・プロフェッショナルになる。38歳で株式会社OpenSky(プライベート・ジェット機の販売・運航業)に入社。40歳で独立し、個人事務所を設立。本書が初の著書となる。