会社の目標だけを社員に押し付けていないか

 ですから、経営や組織のリーダーは、組織に明確な成長へのビジョンを示し、個人に「腹落ち」してもらった上で、個人と会社(事業)の成長を懸けて、ともにチャレンジし続けることが必要です。

 そうすることで、会社に属する個人は、皆納得して自分の成長のために会社でも挑戦をしてくれるようになり、「ゆるい体質」から脱却することができます。

 私は研究室長時代に研究室内の公用語を英語にしましたが、まさにこのパターンがうまくはまりました。(英語の公用語化についての記事

 研究室に英語を導入することで、今後どんな職場に行っても活躍できる人財になるだけでなく、自分の目指すキャリアやポジションにも近づくことができるという個人メリットを実感してもらうことができたからです。

 個人にとっては、味の素のような大企業でのグローバルなビジネス経験や英語でのコミュニケーション経験は転職するにしても大きな武器となります。

 このようにして、会社としての目標は「グローバル成長」でしたが、その目標を達成するプロセスのなかで、「個人のキャリアの選択肢が大きく拓かれること」を社員一人ひとりにメリットとして展開することができたのです。

 ですから、ビジョンを語る際は、会社や部署として目指す姿を話すだけでなく、そこに属する社員が成長することで得られるメリットもセットにして伝える必要があります。

個人と組織の関係性

 組織の目指す姿を通して、「自分が目指す目標」も見えてくる状態をつくることができれば、社員は自然と積極的に仕事に取り組むようになります。まさに「ゆるい体質」からの脱却です。会社の目標を語るだけで、社員は勝手についてくると考えてはいけません。