「団信」が生命保険の代わりに
むしろ自宅の資産性を重視すべき

 前述の3つの理由から、生命保険に入るなら自分に家族ができたときにすべきであり、その際に自宅を買うなら、団信がその役目を果たしてくれることになるということだ。しかし、ここまでは誰でも解説できそうなよくある話かもしれない。

 そこで、家族への資産の残し方まで考えておくといい。自宅は資産性があった方がいい。つまり、資産価値が上がる物件を買おうという話だ。その意味で言うと、都市圏に住む人であれば、戸建よりもマンションの方が資産性は圧倒的に高い。マンション価格は全国で2013年以降1.8倍以上値上がりし、それに対して戸建の値上がりは1.2倍に過ぎない。それも好立地(都心・駅近)のタワーマンションを買う方が資産性が高いことは、過去のデータから分析した結果を何度も公開してきた。

 購入にはタイミングも大事になる。マンション価格が上がっているのは、需給バランスなどではなく、これまでの金融緩和によるところが大きい。デフレ脱却のために行われた金融緩和で、政府が必要以上にお金を市中にバラまいたので、それを多額に借りた不動産事業者がこぞってマンション用地価格を高騰させてきた。この度17年ぶりに利上げに踏み切った日銀ではあるが、資金量は当面減りそうにない。

 こうした世の中の仕組みがわかっていれば、多くの人は自宅購入で資産を増やせただろう。現に、筆者が主宰する無料会員制サイト「住まいサーフィン」では、会員の自宅査定結果が24万件に及び、その含み益は平均3000万円を超えている。筆者当初から家族構成に準じて住み替えを推奨し、子どもが巣立ったら専有面積をダウンサイズすることを提案してきた。この面積減少分も含めると、さらなる益出しが可能になる。売却しないとこの含み益は含み益のままでしかない。

 子どもが巣立った後の家をエンプティネスト(空の巣)と言うが、子どもが出て行った後に引っ越す先が「終の棲家」になる可能性が高い。そこでは考えなければならないことがある。それが、先ほどの60歳以降の死亡率の増加だ。その時点では、余命は20数年になっている。無理できない老体には冬寒い家は堪える。