近年、日本には不動産バブルが到来している。加えてマイナス金利の解除も決定し、「家を買おうと思っていたけど、今はタイミングじゃないのでは?」と不安に感じている人も多いのではないだろうか。
そんな住宅購入を不安に感じる人の悩みを解決するために『住宅購入の思考法』が発刊された。本記事では、著者の江口亮介氏のインタビューをお届けする。
「短時間でいい家を見つけられる人」と「内見に行っても家を選べない人」の差とは
――住宅購入は人生で一番大きな買い物です。不安も多いと思うのですが、うまくいっている人の共通点などあれば教えてください
江口亮介(以下、江口):住宅購入をして幸せになった人は、皆さん「自分たちの購入コンセプト」に沿って家を買っています。
――「コンセプト」ですか。詳しく教えてください
江口:近年の住宅購入は選択肢が膨大にあります。戸建てかマンションか、新築か中古かなど家の種類に加えて、立地や性能、築年数など考えることは膨大です。かつては「新築戸建て」こそが持ち家の王道選択肢でしたが、今はそうではありません。
選択肢は少ないより多いほうがいいですが、その分、どう家を選んでいくかが重要になってきました。
そんなときに重要なのが「購入のコンセプト」です。これは主に次の3つで構成されます。
・何年住む予定か(一生住むのか・買い替えも視野に入れておくのか)
・なんのために家を買うのか
・どのくらい住宅にお金を使えるのか
この3つをしっかりと決めて、それにあった家を選ぶことがなによりも重要です。これは持ち家だけでなく賃貸でも同じです。
――ありがとうございます。ただ、あたり前のことのようにも思えるのですが
江口:そうですよね。おっしゃる通り、当たり前のことです。しかし、実際に家を選ぶとなると、多くの人が目移りしたり、見栄を張りたくなったりしてしまって、当たり前のことができなくなるのです。
たとえば、「なんのために家を買うのか」の理由が「いい環境で子育てをするため」だとしましょう。この理由自体は素晴らしいです。しかし同時に、心のどこかではキラキラしたタワーマンションに憧れがあります。不動産会社に相談したら、買える物件も紹介してもらいました。
順調なように思えますが、ここで一度立ち止まってみましょう。本当にタワーマンションである必要があるのでしょうか。
もちろん、タワーマンションが魅力的なのは間違いありません。タワーマンションの魅力は駅近であったり、セキュリティが高かったりするところです。駅近であるがゆえに資産性にも優れているでしょう。
しかし、この魅力は「子育て環境」とマッチしているでしょうか。タワーマンションの高層階ともなれば外に出るのはそれなりに時間がかかります。買い物に行く、公園に行く、毎日の送り迎えなどストレスを感じる瞬間は多いかもしれません。
「将来は住み替えたいからいい」「基本在宅で完結するからいい」など、そこに合理的な理由があればいいですが、ただの憧れだとするとやめたほうがいいでしょう。
このようなかたちで、家を買いたい理由がありつつも、いろいろ目移りしてしまって失敗するケースも存在します。
近年の住宅購入は「マンション一択!」という風潮がややありますが、大事なのは自分にあっているかどうかであって、人気のものを買うかどうかではありません。
戸建てだろうがマンションだろうが、都心だろうが郊外だろうが、それがその人にあっていれば正解なのです。そのことを明確にするためにも先ほどの「購入コンセプト」が必須になるわけです。