中国発の激安通販ショッピングサイト「Temu」(ティームー)

中国発の激安通販ショッピングサイト「Temu」が世界中でたくさんの顧客を獲得している。アマゾンや楽天と比べても商品は激安だが、問題はないのか。安さの正体と、利用者がどっぷりハマる理由に迫った。(イトモス研究所所長 小倉健一)

毎月1億5200万人弱の
アメリカ人が利用

「Temu」(ティームー)という名の中国発の激安通販ショッピングサイトが、世界中でたくさんの顧客を獲得していることをご存じだろうか。

 6月12日に米ブルームバーグが報じたところによれば、「消費者1000人を対象に4月に行われた調査によると、少なくとも月1回はTemuから購入するとの回答は34%に上り、イーベイの29%を上回った。ロンドンを拠点とするオンラインマーケティング会社オムニセンドが調査を実施した」という。

 Temuは、米国デビューからわずか2年足らずで、30年近い歴史を持つeコマースの草分け的存在であるイーベイを追い抜いてしまったのだ。

「アナリストのSimilarWebが収集したデータによると、Temuは毎月1億5200万人弱の米国人が利用しており、世界のアプリダウンロードチャートで常にトップとなっている」「中国の消費者市場を追い風に、PDDホールディングス(Temuの運営会社)は以前の成功を確かなものにしたのと同じモデルを使って、Temuで海外進出を果たした。同社は大きな誇りと愛国心の源となっている」(英BBC、3月19日)という。

 日本には、昨年(2023年)7月に上陸している。扱っている商品は、ほとんどが中国製で、ファッションアイテム、家電、日用雑貨と幅広い。サイトへアクセスして気付くのが、「-70%」「-59%」「-66%」など極めて高い値引き率の「数量限定」「タイムセール」だ。

 Tシャツが1枚321円、腕時計が223円で販売されているなど、アマゾンや楽天で売っている同じノンブランドの商品と比べると、値段が総じて安い。どうして、こんな「激安セール」を常時開催できるのか。なぜ、世界中で広がっているのか。今回はその秘密に迫りたい。