また、中学入学当初の子どもたちは、どうしても通っていた塾のクラスによって派閥に分かれてしまいがちです。それが、合宿で一緒に寝泊まりしながらワイワイやっているうちに、「派閥なんてあったっけ?」というくらい、しがらみがほどけてしまいます。

中学受験後に気をつけるべき
“魔の75日間”とは?

 中学受験を引きずるのは、何も受験に失敗した子だけではありません。新入生のなかにも、勉強に対して前向きになれない、なかなかやる気が出ない、“燃え尽き症候群”のような状態になる生徒が少なからずいるのです。その原因は、合格発表から入学式までの2カ月半の過ごし方にあります。

 いわゆる“魔の75日間”です。

 長期間にわたる受験勉強や精神的なプレッシャーから、ようやく解放された子どもたちは、合格発表直後からさっそく、我慢していたゲームに思う存分興じるようになります。受験期には厳しかった親御さんも「頑張って合格したのだから、この期間くらいは」と、うるさく言わないので、子どもは正々堂々ゲーム三昧。そのうち生活リズムが昼夜逆転し、学習意欲のスイッチも完全にオフになってしまいます。このオフモードが入学以降も続くとどうなるか。

 西大和学園では中学入学から6年間、生徒一人ひとりの成績を追跡調査していますが、データを分析してみて、はっきりと分かったことがあります。それは「中学1年の最初の定期テストでのつまずきが6年間続く」ということです。

 最初の定期テストは入学から2カ月後の6月です。このテスト結果が学年のなかでも下位だった生徒は、その後、最初の順位からなかなか浮上できない。傍から見ればちょっとしたつまずきであり、じゅうぶん巻き返せる成績なのに、本人はそれが西大和での自分の実力だと思い込み、勝手に順位を確定させてしまうのです。

 学校説明会ではこのデータも紹介しながら、学習習慣を途切れさせないこと、受験勉強で後回しにしていた家の手伝いや礼儀作法などにも取り組んでおくことなど“魔の75日間”をつくらないためのヒントなども保護者の方にお伝えしています。そのうえで、「学びたい」という意欲のスイッチを自分で押してもらうべく、入学早々のオリエンテーション合宿やたくさんの行事を通して、子どもたちの好奇心や探求心を刺激するのです。