いち早くグローバル教育として
「アメリカ語学研修旅行」も導入

 中学校開校当初の行事で、一番の目玉は「アメリカ語学研修旅行」でした。

 英語の授業では、中学2年生までで中学英語をひと通り終えるカリキュラムを組んでいます。そこで、中学3年生ではアメリカでホームステイを敢行し、しゃべれるかどうか挑戦してみよう、生の英語に触れてみよう。その成果を高校で生かそうという試みです。

 今でこそ、海外への研修旅行やホームステイを実施する中学校も珍しくなくなりましたが、当時は前例が非常に少なく、近畿圏では西大和学園が初めての実施例でした。その意味では、現在さかんに叫ばれているグローバル教育の先取りともいえます。

 第1回目は、6期生が中学3年生に進級したての1990年4月、私も引率として同行し、サンフランシスコへと向かいました。

 この語学研修旅行は、私にとって中学校をつくるときの第一条件でした。若いころの海外放浪の旅で、日本人の英語教育の必要性をいやというほど痛感したからです。

 中高大と英語を学んだので、「英語くらい話せるだろう」と思い込んで旅に出たのですが、相手の言っていることがまるで分からない。ホテルのカウンターで「あなたのルームナンバーは○番です」と言われた、その簡単な英語すら聞き取れないのです。

「日本の英語教育は間違っているのではないか。読み書きや文法重視で、英会話教育がおろそかになっているのではないか」

 このときに感じた疑問が、西大和学園の英語教育や、アメリカ西海岸でのホームステイプログラムへとつながっていきました。

 実際に、ホームステイを体験した生徒は、わずか10日間ほどにも関わらず、帰国のときには見送りのホストファミリーとペラペラとしゃべっている。その姿を見て、プログラムの成功を確信しました。

 事実、この試みは40年近く経た今も「アメリカグローバル研修プログラム」の名で継続され、多くの西大和学園生がここから国際人としての第一歩を踏み出しています。