「いいから黙ってやれ」と言いたくなったとき、「できるリーダー」なら何と言う?
そう語るのは、これまで4300社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「いいから黙ってやれ」と言いたくなったとき、「できるリーダー」なら何と言う?Photo: Adobe Stock

ルールは「大事」

「言わなくてもわかってもらえるだろう」
「察してくれるだろう」

 そういったマネジメントは、やってはいけない方法です。
 空気を読むことを強制してはいけません。

「簡単なようで、できていないこと」を守らせることができるかどうか
 それが今後のマネジメント人生で大きな差を生みます。

 あえて少し厳しいことを言うと、簡単なルールすら守らせられない人に、この先、大きな仕事は成し得ません

 ただ、そうは言っても、

「いいから黙ってやれ!」

 とは言えないものです。

 では、できるリーダーはどう伝えればいいのでしょうか。

「ルール設定」をやってみる

 実際に「ルール設定」をやってみましょう。

 あなたは、「会議に遅れてくるメンバーが多い」という問題を抱えているとします。

「会議には時間どおりくるべきだろう」

 と、メンバーたちに察するような雰囲気を出しているとしたら、リーダー失格です。
 認識の齟齬によって発生するエラーは、上司であるリーダーの責任だからです。

 リーダーがすべきなのは、誰でもできる姿勢のルールを作ることです。

「全員、会議の始まる3分前には着席しましょう」

 このように、誰が何をするのかをハッキリさせましょう
 そのルールは、一度だけ口で言ってもダメです。
「聞いていなかった」「1分前じゃありませんでしたか?」という反論の余地が生まれてしまうからです。

・一斉メールで伝える
・全員が見られる共有ファイルをつくる
・ルールをまとめて紙で配布する

 など、後から確認できるようにしましょう。

「自分」で判断しよう

 その際、主語が曖昧になっていないかに気をつけます。

「私がそう決めたので、以後、守ってください」

 など、責任の所在が自分にあることを明確にします。
 そうして実際に運用しはじめたら、問題が起こってくると思います。

「会議前の電話が長引き、時間通りに出られないことがあります」
「自分は15分前から待っているので、もっと早く来てほしいです」

 そうやって部下から出てくる問題は、「情報」として受け止めます。
 全員の顔色をうかがってすべてを満たすようにルール変更をする必要はありません。
 リーダー自身が情報を元にして、最終的な判断をします。

・「重要な電話の場合は、一度電話を切るか、メッセンジャーなどで上司に会議に遅れる承認を取る」とルールを追加する
・「3分前と伝えているので、それより前に集まる必要はない」と明言する

 というように、情報だけを見て決めましょう。
 ルールを決めるときは、感情が生まれてしまうかもしれません。
 そんなときこそ、「リーダーの仮面」の出番です。

 状況に併せてルール変更するのが正しいリーダーのコミュニケーションです。ぜひ、身につけましょう。

(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。