『おじいちゃんが教えてくれた 人として大切なこと』という一冊の本が刊行された。手の付けられない乱暴な子に育った著者が、思春期の頃、おじいちゃんに教わった「人生の教訓」について書いたものである。そして実は、タイトルにある「おじいちゃん」とは、かの有名な「ガンジー」のことなのだ。12歳だった孫の人生を変えたガンジーの教えとは? 世界中の人々が「自分」と向き合うきっかけとなった本書の邦訳を記念して、その一部を特別に公開する。今回は、ガンジーが孫に語った「考えをまとめるために必要な習慣」について紹介。
情報を得ることよりも大切なのは「一人で考える時間」
バプジ(おじいちゃん)は誰かと一緒にいるときは、相手に刺激を与えていた。相手にきちんと意識を向け、自分の考えを伝えた。一方で、アシュラムで一人になると、今度は自分自身とだけ向き合う。静かな環境でエネルギーを充電する。
多くの音楽家やアーティストによると、創作のひらめきは思いもよらない瞬間に訪れるという。シャワーを浴びているときや、眠りに落ちる直前などだ。そんなアイデアを書き留めるために、枕元にノートとペンを用意している作家もいる。
もちろん、シャワーやベッドに魔法の力があるわけではない。ここで肝心なのは、現代生活で一人きりになれるのは、おそらくシャワー中かベッドに入ったときくらいしかないということだ。
見識を広めるためには、たしかに外に出てさまざまな人に会い、たくさんの経験を積まなければならない。しかし、そうやって受け取った情報を整理し、自分のものにするには、一人になって内省する時間が必要だ。バプジはそれを、私に教えてくれた。
(本記事は、『おじいちゃんが教えてくれた 人として大切なこと』(アルン・ガンジー著、桜田直美訳)の一部を抜粋・編集したものです)