「卒園式では感動して涙が止まらなかった」というエピソードが保護者の愛や子育てに対する達成感を伝えるのと同様に、お泊まり保育を控える保護者が平静を保っていられない様子からも、愛や保護者として成長しようとする様子などいくつかの「特別」が伝わってくる。もっと内実が語られ、知られていいイベントであるように感じられる。
子ども不在で過ごす夜
ママはしっとり、パパはわさわさ過ごす傾向
私と妻の間で特に心配されていたのは、「娘は無事に夜寝られるのか」であった。娘は部屋をかなり明るくしないと怖がって寝られず、また妻と同じベッドでくっつきながら寝ているため、はたしてそれと劇的に違うと予想されるお泊まり保育の環境下においてどうなるのかが案じられた。
そこで、娘が暗い場所で寝られるようになるため、部屋を暗くして寝ることや寝入ってから部屋の明かりを消すことを提案したり、明度のやや低い明かりの導入を試みたりと、本番1週間ほど前からわさわさ動いていた。「娘の寝付きの練習」という目標を掲げてはいたが、何かをしていなければ落ち着かないので、「自分のために動いていた」と言える部分は多くあったと思う。
妻は少し心配そうにするくらいで、予想外にもだいぶ泰然としているように見えたが、本番1週間ほど前からは不眠症に陥った。「子が心配で寝られないのでは」と私が指摘すると「原因は何かわからないけどそれは違うと思う」と答えていたが、本番を終えたあとは不眠症が去って健やかに寝られるようになったので、お泊まり保育への心配と不眠症状の関連が激しく疑われている。
お泊まり保育を巡る保護者の感情はおおむね「事前→最中→事後」の順に「心配→心配・寂しい→子を褒め・ねぎらいたい気持ち」である。
その中でも感情がピークに達するのは、やはりお泊まり当日の夜である。「子どもの画像フォルダを開いて成長を見返して、一晩過ごした」という人もいた。