子育て中の家庭に発生する大きめのイベントの一つが「お泊まり保育」である。子どもにとって好奇心と少しの不安で胸が高鳴るイベントであることは間違いないが、実は送り出す側の親の側もさまざまな感情が渦巻く。お泊まり保育に娘を送り出した筆者が、この経験で感じたことを記しておきたい。(フリーライター 武藤弘樹)
子どもだけでなく大人もそわそわ
初めての「お泊まり保育」
保育園年長の娘のお泊まり保育が催された。子どもたちは一晩親元を離れて園に泊まり、カレーを作ったりドラム缶風呂に入ったりと、その他企画盛りだくさんの時間を過ごすという特筆すべきイベントである。
子どもはわくわくと緊張がないまぜになった状態で、実施1週間ほど前からすでにそわそわしているが、親・保護者はというと、実は子に輪をかけてそわそわしている。束の間の1人分の子育てから解放される自由への期待もありつつ、やはり心配が大きいように見える。
大抵の場合、お泊まり保育が初めて保護者の元を離れて夜を越す体験となるから、「うちの子大丈夫かしら」と不安に思われるのである。
私もかなり不安だったが、とにもかくにも娘は無事、そしてとても楽しんで帰ってきた。終わってみると不安がっていた自分の様子は滑稽に思えたが、他の保護者らの話を集めてみると、どうやら同様に相当不安でそわそわしていたようである。
この保護者のそわそわが趣き深く面白いのだが、皆恥ずかしがっているのか世間ではあまり深堀りして語られることがないようで、これは実にもったいない。