保育士の先生方にまったく頭が上がらない
子どもと親が成長する機会

 お泊まり保育やその準備期間を通じて、子どもが著しい成長を見せるケースもある。たとえば「親と違う布団で寝る」「箸が使えるようになる」「着替えを自分で用意する」などで、我が娘も風呂上がりに体を自分で拭くようになった。

 一方、おとまり保育は保護者にとっても成長の機会となる。お泊まり保育を通じて私は多くの保護者が"子離れ”に向き合ったように感じた。

 “子離れ”に関する知見を得ようと参考文献を探してみると、最も多く取り上げられているのが子どもの自立に伴う別居(喪失感も一番大きいらしい)、ついで子ども思春期・反抗期であった。親にとって最初の子離れを“離乳”と説明しているものもあったが、未就学児を対象にした“子離れ”はあまり語られていないのが現状である。

 否が応でも子離れに向き合わねばならない機会は離乳、入園、卒園入学など、いくつかある。子どもの世界は小学校、中学校、高校と段階的にどんどん広がっていくし、子どもは常に保護者の予想を上回る形で成長していく。こうした中でお泊り保育は、保護者にとっていつか訪れる“子の自立”を意識させる、初期の貴重な機会となるのであった。

 最後に、おとまり保育という大変な一大イベントの実現に尽力くださった、あるいは尽力くださっている世の保育士さん全てに感謝を捧げたい。子どもと保護者の楽しみと成長は、保育士さんたちの大変な頑張りによって支えられている。

【参考文献】

『子離れしたくない そんなあなたへの3つの言葉』 石川達之
『上手に子離れする方法』 ふじのまこ
『子離れ力をつけて人生後半戦を豊かに生きる: 子どもファースト母さんを卒業!老後を自分らしく生きるための50歳からの子離れレッスン』 青海ゆう