自分にとって必要なものと願望とをしっかり区別している人は、他者と比較しません。大事なことは、自分にとって必要なものがあるかどうかであり、なければ手に入るように努力すればいいだけの話。他者と比較することはありません。

 自分にとって必要なものがわからないから、まわりと比較して「あの人はもっているのに」「隣のほうが上だ」などと思ってしまう。つまり、自分のアイデンティティーが確立していない人、自分の生き方が明確でない人が比較してしまうのだと思います。

視野を広げて客観的に
自分を捉える方法

 とはいえ、アイデンティティーや自分の生き方を確立していくことは一朝一夕でできることではありません。そこでお勧めしたいのは、「頭上のオレンジ」と呼ばれるアメリカ発のカウンセリングで行われている方法です。

 頭の上にオレンジが1つのっていると想像し、そのオレンジから周囲を見ていると仮定する。自分の普段の目線を少し上にもっていくようにイメージするのです。

書影『幸福力――幸せを生み出す方法』(潮文庫)『幸福力――幸せを生み出す方法』(潮文庫)
海原純子 著

 そうすることによって、視野が広がり、客観的に自分を捉え、冷静に物事を考えるきっかけになります。そうやって自分自身を見つめていくことで、次第に自分にとって本当に必要なこと、進みたい道が見えてくるのではないでしょうか。

 また、自分は生き方に誇りをもち満足していても、ときとして、他者に「あなたは○○さんに比べてみじめね」などといわれる場合があります。

 そんなときも動じることはありません。相手の指摘が正しければ、努力すればいい。でも自分らしく努力して一生懸命生きているときにそう言われたら、闘うことです。堂々とすることです。強い覚悟をもたなければいけません。そのときにめげるというのは、自分で自分を蹴り飛ばしているようで、自分にも失礼なことなのです。