レースの舞台はいよいよシャンパンの生産地、シャンパーニュ地方へ。今回のコラムは、円安なのにお得感が溢れるフランスのスーパーの様子を紹介する。現地のスーパーを訪れて、値段をのぞいてみた。ツール・ド・フランス観戦に必須のワインとチーズ。しっかりしたものを日本で買おうとするとやや値が張る印象だが、フランスのスーパーでは驚きの価格で販売されていた。これを読むと日本ではチーズが買えなくなるかもしれません……。(取材・文/スポーツジャーナリスト 山口和幸)
あっという間の序盤戦
23日間にわたってフランスの広大な大地を走り抜けるツール・ド・フランスは大会8、9日目にフランス北東部のシャンパーニュ地方に到達した。この大会の開幕は土曜日が原則で次の週末までの9日間が第1週というくくり。10日目の月曜日に国際ルールで定められた最初の休息日を迎える。ツール・ド・フランス取材ではこの9日間がとても長く感じるのだが、今回はレース展開が目まぐるしく、あっという間の序盤戦となった。
7月6日の第8ステージはスミュール・アン・ノーソワ〜コロンベ・レ・ドゥ・ゼグリーズ間の183.4kmで争われ、アンテルマルシェ・ワンティのビニヤム・ギルマイ(エリトリア)が第3ステージに続いて優勝。
第9ステージはトロワを発着とする199kmを走り、主催者が故意に設定した未舗装区間で選手も関係車両も砂で真っ白に。そんな逆境にめげず、勝利への執念が一番強かったトタルエネルジーのアントニー・テュルジス(フランス)が悲願の初勝利。
総合成績ではUAEチームエミレーツのタデイ・ポガチャル(スロベニア)がしっかりと首位のマイヨジョーヌをキープしている。
シャンパーニュ地方の丘陵はフランスのどんなエリアよりも黄金色に輝いている。麦畑が丘の向こうまで広がる田園風景さえも、どことなくリッチな雰囲気があって、いやが上にも胸が高鳴る。スマートなグラスに注がれた黄金色の液体は楽しい時間の始まりを告げる演出アイテムにほかならない。
パリから東に約160km、TGV(高速鉄道)なら1時間かからず訪問できる。大きな都市はトロワ、ランス、エペルネだ。ランスにツール・ド・フランスがゴールするときは、プレスセンターにはシャンパン醸造所のマダムが職人たちを引き連れて陣取り、世界各国から来た取材陣を待ち構えている。
シャンパーニュ地方はいわゆる発泡ワイン、シャンパンの産地として知られる。この地方を通過するときは、ツール・ド・フランスの沿道に真っ白な前掛け姿のワイン職人をあちこちで見かける。発酵樽が来訪者を歓迎するように飾り付けられていたりする。
エペルネもツール・ド・フランスがよく訪れる。小さな町なのだが、このエペルネに、日本のナイトクラブで超高額ワインとして知られるブランドの本社がある。黒色の鉄格子に金色の「MOËT & CHANDON」(モエ・エ・シャンドン)の文字。他にも数軒のシャンパン醸造所が軒を連ねるが、このアベニュー・ド・シャンパーニュこそユネスコ世界遺産の「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」に登録された14カ所の1つである。