<正解>

 15分

 あなたが2つのボートを同時に操作できる凄腕の持ち主でも、スピードの限界を超えることはできません。
 どうやっても、速度が遅い方の時間がかかってしまいます。
 たとえば「1分」と「8分」のボートで出発したら、川を渡るのに「8分」かかります。
 どうすれば、4つのボートを最短で向こう岸に渡せるでしょうか。
 意外な組み合わせが鍵になるかもしれません。

最大のネックは何か?

 この問題を見て「16分」と答える人は少なくありません。
 おそらく、こんなふうに考えるためです。

 ①「8分」「1分」のボートで向こう岸へ
 ②「1分」のボートで元の岸へ
 ③「4分」「1分」のボートで向こう岸へ
 ④「1分」のボートで元の岸へ
 ⑤「2分」「1分」のボートで向こう岸へ

 戻ってくるのをすべて「1分」のボートにして最速を目指すという発想は秀逸です。
 ですが、じつはもう少しだけ早くなる方法があります。

ボトルネック同士を組ませる

 この問題の課題になっているのは、「速度の遅いボート」の存在です。
 ここに目を向け、「戻りを早くする」という思考に加えて、

「遅いボートをまとめて運ぶ」という視点が必要です。

「8分」のボートはどのボートと一緒に運んだところで8分かかるので、次に遅い「4分」のボートと一緒に運んでしまうことで、遅いボートを運ぶ回数を減らしてしまおうという発想です。

 しかし「4分」のボートで戻ってくると大きなタイムロスになる。
 なので、先に「1分」か「2分」のボートを向こう岸に用意しておくのがベストです。

 ①「1分」「2分」のボートで向こう岸へ
 ②「1分」のボートで元の岸へ
 ③「4分」「8分」のボートで向こう岸へ
 ④「2分」のボートで元の岸へ
 ⑤「1分」「2分」のボートで向こう岸へ

 これなら、15分ですべてのボートを運べます。

「思考」のまとめ

「時間がかかる作業を同時にこなす」といった視点は、日常生活にも役立ちそうですね。
「効率のよい方法」だけでなく、「効率を下げる要因」に目を向けることも大切だと教えてくれる問題でした。

 ・「よい方法」を考えるだけでなく、「悪い要因」に目を向けることで新しい発想が見えてくることもある

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。