誰に頼めばいいのか
通常、身元引受人は患者の同居人が記載されます。しかし、おひとりさまには同居人がいません。このような場合は、親きょうだいなど、別居している親族に身元引受人を頼むことになります。
もちろん親族であれば、それくらいの頼みは引き受けてくれるでしょうが、厄介なのは死後に発生する手続きや儀式です。葬儀はどこでどのように行うのか、お骨を納める墓はどうするのか、遺品はどのように整理して誰が相続するのか、役所への手続きはどうするのかなど、問題が山積みです。
おひとりさま本人はすでに亡くなっているので何もすることはないのですが、厚意で身元引受人になってくれた方に迷惑をかけてしまうのはあまり望ましくないでしょう。大切なのは、あらかじめ死後の処理を自分で考えて準備しておき、身元引受人に明確に伝えておくことです。
そのまえに大きな壁となるのが、身元引受人の選定です。
入院が決まってからでは遅すぎる
この身元引受人というのは、たとえば本人の意識がなくなった場合に、本人に代わって医療行為に同意する役目を負うこともあり、選定にも気を遣います。
また、入院時にいきなり「身元引受人になって」と頼まれても、相手も心の準備ができていないでしょうし「何をすればいいの?」と慌ててしまうでしょうから、健康で元気なときにあらかじめ「もし入院することになったら身元引受人をお願いします」と頼んでおく必要があります。
そもそも、脳出血や脳梗塞や心筋梗塞で病院に運ばれるのだとしたら、入院時にあなたの意識がなくなっていたり、しゃべることができなかったりすることもありえます。つまり、入院することになってから身元引受人を探すのでは遅すぎるわけです。
私のおすすめは、これを読んだらいますぐにでも「あの人に身元引受人になってもらおう」と決めて、相談しておくことです。
そうすると十中八九「何をすればいいの?」と聞かれるでしょうから、「自分が意識不明になったら、病院から次のような相談があるかもしれない」と伝えておいてください。