古田温子・デロイト トーマツ エクイティアドバイザリー社長インタビュー

デロイト トーマツ グループが今春、企業の株主対応支援を行うコンサルティング会社を設立した。その社長に招聘されたのは、野村證券やアイ・アールジャパンでアクティビスト対応などを長年手掛けた古田温子氏だ。6月の株主総会では過去最多の91社が株主提案を受けるなどし、防衛コンサルに対する企業のニーズは強まっている。古田氏が独占インタビューに応じ、アクティビスト防衛術や、新会社の狙いについて明かした。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

企業防衛のスペシャリストが指摘
日本は「株主提案天国」だ!

――今年の株主総会の特徴として、何か感じたことはありますか。

 株主提案のハードルが低くなったと感じました。日本はもともと株主提案をしやすい国ですが、個人も含めて皆がそれに気付き、株主提案に対する抵抗感がなくなっている。

 一方、株主提案を受ける側とすれば、従来であれば一生に一度経験するかしないかという話だったのが、今後はどんどん増えていくと思います。

――「株主提案をしやすい国」というのは、何を指しておっしゃっているのでしょうか。

 例えば米国だと、株主提案を受けた会社が株主提案として取り上げるかどうかは取締役会が決められる。取締役会の権限が強い。

 しかし日本は、法令・定款にのっとった提案であれば即、株主提案として成立してしまう。株主提案として取り上げるかどうかの判断が機械的になされてしまい、取締役会の裁量がありません。

 また米国では、提案者側が自分たちのコストで他の株主に情報を伝えなければなりませんが、日本は会社が招集通知に載せてくれるのでほとんどコストがかからない。

 日本は「株主提案天国」みたいなところがあると思います。

――それは資本市場にとって良いことではないでしょうか。