関西風は、蒸さずに焼き上がるために外がパリッとした食感が楽しめます。脂分多めのジューシーなうなぎに負けぬよう、甘めでとろみがあって、こくがあるたれが主流です。

 ときどき関東風、関西風、どちらがおいしい論争が勃発します。私は、どちらもおいしいと答えます。ラーメン好きの方なら今日はあっさり昔ながらの中華そばが食べたい時もあれば、背脂こってりのとんこつラーメンが食べたい時もありますよね。私にとってうなぎも同じです。

 おいしさのバリエーションが多いほうが人生は口福になります。皆様もぜひ双方のおいしさを体感してみてください。

うなぎの種類とうなぎ料理は
世界中に盛りだくさん

 世界にはニホンウナギを含めて19種類のうなぎが生息しているといわれています。このうち特に食用とされているのは、主に、日本人が食べ慣れているニホンウナギ(ジャポニカ種)とヨーロッパウナギ(アンギラ種)、アメリカウナギ(ロストラータ種)、東南アジアに生息するビカーラ種、オオウナギ(マルモラータ種)などです。

 日本で最もポピュラーなうなぎ料理といえば、蒲焼ですね。これは日本発祥の日本独自の料理です。では、海外ではどんなうなぎ料理が食べられているのでしょう。欧米では燻製にして食べることが多いと高崎竜太朗(国立研究開発法人水産研究・教育機構)さんに教えてもらいました。自称ウナギストの高崎さんは、大学院に通いながら海外のうなぎ視察をするうなぎ好き。その帰国直後に興味深い話をたくさん聞きました。

 イギリスで塩味のゼリーの中に茹でたうなぎの入った「うなぎのゼリー寄せ」なる伝統料理を食べた話の中で「生臭くてお世辞にもおいしいとは思えませんでした。よっぽどのうなぎ好き以外はお勧めしません。でも、高城さんなら大丈夫」と言われたのが今でも印象に残っています。私はよほどのうなぎ好きということでしょう。