でも、ある日、大助くんが言ったんです。「マイナス思考はやめようや」って。「毎朝『生きてた』って言われる立場にもなってくれよ。僕も『よかったなあ』って言えるくらい人間ができてたらいいんやけど、つらそうにため息つかれたら、聞いてて悲しくなる」って。ほんまにそのとおりやと思いました。それからは一切言わないようにしています。

 もうひとつ、よくあるのは「花子さんは、お医者さんや看護師さんたちと、どうしてそんなにいい関係がつくれるんですか」という質問です。患者さんやご家族の中には、お医者さんたちとうまくコミュニケーションをとれず、不信感をもつ人が多いみたいですね。

人間関係のルールを基本から
教えてくれた大助くん

 私はちょっと変わっているのかもしれませんが、病院の先生方に限らず、誰かに対して「嫌な人やなあ」と思ったことがないんです。そもそも好き嫌いがありません。だから、誰とでも打ち解けられるんでしょう。でも、これも昔からそうだったわけじゃありません。若い頃は、口も行儀も性格も悪かったですから。

がん闘病の宮川花子の尿道に大助が管挿入→看護師に絶賛されて放った「渾身の下ネタ」『なにわ介護男子』(主婦の友社) 宮川大助・花子 (著)

 この世界に入っても師匠や先輩方に敬語が使えなくて、あの西川のりお・上方よしおさんも「のりやん、よっしゃん」なんて平気で呼んでいたくらいです。大助くんがいちいち「年上に対して、そんな言い方はあかん」と叱ってくれて、人間関係のルールを基本から教えてくれました。

 それにしても私は、今いくよ・くるよ師匠、ザ・ぼんちさん、明石家さんまさん、笑福亭鶴瓶さん……たくさんの方に本当によくしてもらいました。これまで出会ったやさしい先輩方や仲間が、私を少しずつ変えてくれたんだと思います。

 闘病生活は、お医者さん、看護師さん、リハビリの先生、作業療法士さん、薬剤師さん、病室を掃除してくださる方など、たくさんの方たちの総力戦です。私は、その神輿に乗っているだけ。だから、できるだけいつも明るく笑顔で感謝を伝えるようにしています。