喪失感はすぐには消えませんが、時間が経つにつれて、気持ちが徐々に「あきらめ」へと変化します。もうあの人はこの世にいない、という現実を知るわけです。

 人生は、出会いと別れの繰り返しです。別れのない出会いはなく、出会いのない別れはありません。そんな繰り返しを楽しんだり、悲しんだりすることに「学び」や価値があるのです。いつまでも悲しむだけでは、あの世に還った当人に無用な心配をかけるだけです。

成仏を心配するのはルール違反

 身内が亡くなった時に、感情面での揺らぎとして起こることに「逝った人がちゃんと成仏しているのか」というものがあります。

 前回お話ししました母との交霊において私自身が実感しましたが、現世の人間が心配すればするほど、逝った人はあの世で心配を続けるそうです。
 私の母も、交霊が始まった途端、「直樹さん、ごめんなさいね。心配をかけてごめんなさいね」と霊媒の方の口を借りて話し始めたのでした。
 母が亡くなって以来、私は親孝行らしいこともせずにいた自分を省みて、毎晩手を合わせていたので、きっとその思いが母に心配をかけてしまっていたのでしょう。

 あの世とこの世は常につながっており、それこそ亡くなった人のことを考えた瞬間、あの世の当人へとつながります。
 冥福を祈る、こういうことがあったと楽しげに語りかける、そういうことならいいと感じますが、心配することで余計な心配をかけてしまうのです。

 ちなみに、故人を思い出すのは時々でいいそうです。思い出し方も重要で、涙を伴う思い出し方ではないことが大切です。これも母の死後、交霊で母本人から聞いた情報です。
 要するに、幸せに生きている、というメッセージが、時々向こうに伝わることが大切というわけです。私もそうしています。
「こっちは元気だよ。そっちも楽しいんじゃない? 私がそっちに行った時はよろしくね」
 時々、そんなメッセージを送っています。

次回は、「幸せなお別れを約束してくれる言葉」をご紹介します。

4月22日更新予定です。


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