「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」。「実家片づけ」をしないまま親が認知症になったり亡くなったりすると、「お金」「時間」「労力」という負担が子ども世代にのしかかってくるので、「実家片づけ」は”親が元気なうちに”取り組むことが大切です。とはいえ、ほとんどの親は、最初は片づけることに反対し、親子喧嘩に発展することもしばしばです。乗り気じゃない親を説得し、実家の膨大なモノや書類を片づけ、親が最期まで楽しく安全に暮らせる家にどう変えていくか……。親子だからこそ難しい「実家片づけ」のポイントを解説した、片づけアドバイザー石阪京子氏の最新刊『介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』から、そのテクニックを抜粋・編集してお伝えします。
片づけのプロでも苦戦した「実家片づけ」
「なんで捨てなあかんねん! 2階に持って上がってくれ」
「こんな大きいソファ、階段上がらへんで」
「じゃあ、ガレージに入れとってくれ」
「 そしたら車止められへんやん! 訪問看護師さんが来たとき、どこに車止めるん?」
これは2021年、私が「実家片づけ」をしたときの父と私の会話です。
入院していた母が退院することとなり、父と自宅で最期を過ごすことになりました。
そのためには、介護ベッドや吸引器、母に付き添う父のためのベッドなどを部屋に置く必要があります。訪問入浴サービスを受けるためには、広いスペースも必要です。けれども、今のままでは置く場所がない。だから、モノを捨てるしかない。
そこで冒頭のソファを処分しようと提案したのです。
でも、父にはその理屈が通じません。
「もったいない」
「いつか使う」
「捨てるのはいつでも捨てられる」
条件反射のように反論の言葉を繰り出して、片づけることを拒みます。
だから、激しい言い合いになり、何度も喧嘩をしました。
自宅やクライアントの家を片づけるのとは勝手が違う「実家片づけ」
私は、これまで14年以上、片づけアドバイザーとしてたくさんの方に寄り添ってきましたが、それとはまったく勝手が違うのです。
実の親子は本音でぶつかり合えるぶん、一筋縄ではいきません。親子だからこそ言葉もきつくなるし、感情が爆発してしまいます。実際に自分自身が体験したことで、その大変さを痛感しました。
片づけメソッドを知っていても、片づけが得意な人でも、思い通りにいかない。
それが「実家片づけ」なのです。
「実家片づけ」をしないと、結局、困るのは子ども
実は最近「実家を片づけたい」という要望が非常に増えているのを感じます。私は片づけアドバイザーとしてLINEでお片づけレッスンをしていますが、肌感覚だと、10年前と比べ約10倍くらいに増えているように思います。
高齢のご両親を抱えている方が増えているのか「このままでは大変なことになる」と、危機感を抱いている方が非常に多いのです。
一番大変なのは、片づけを後回しにしているうちに、ご両親が亡くなってしまうケースです。
実家はモノだらけで、大事な不動産の紙がどこにあるのかもわかりません。とはいえ、死後10か月以内に相続税の手続きをしなければならないから、仕事や子育てで忙しいなか、片づけるためだけに実家に通う羽目になるのです。
何がどこにあるのかわからないから時間がかかるし、手間もかかるし、交通費だってかかります。
そのためにパートを休まざるをえず、収入が減った人もいますし、切羽詰まって業者に片づけを依頼したら、数十万円かかったという人もザラにいます。
つまり、「実家片づけ」を先延ばしにしていると、最終的には「お金」「時間」「労力」という負債が私たち子どもにのしかかってくるのです。
「片づけのプロ」×「実家片づけの実体験」で完成!最強メソッド
冒頭でもお話ししたように、片づけの専門家である私でも、自分自身の「実家片づけ」は正直言って、とても大変でした。失敗や反省がたくさんあります。
しかし、実際に体験したことで、「こうすればいいんだ」という気づきも得ました。
その経験を元に、「実家片づけ」のやり方をまとめたのが本書です。通常の片づけとはひと味違う、実家片づけならではのメソッドを本書で余すところなく公開します。
*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。