正解は、②約2%上昇する。
株価が理論上約2%上昇するのは、なぜ?
I社は、「発行済み株式総数の2%に当たる3000万株を上限として自社株買いを行う」と発表しました。
この自社株買いが株主にどのくらいのメリットを生むか、おおよその見当をつける方法をお教えします。
発表された自社株買いがすべて実行されると、発行済株式総数が2%減ります。
すると、企業の利益額が変わらなくても、1株当たり利益が約2%増えます。
PERでの株価評価が変わらなければ株価は約2%上昇します。
自社株買いは、1株当たりの分け前を増やすこと
「自社株を買うんだから株価は上がるでしょ」と、自社株買いのメリットを「買いが入る」という需給材料と考えている方もいます。
たしかに「自社株買い」を発表した企業の株価が、短期的に大きく上がることもあります。自社株買いを材料に短期筋が買い上がると、そうなります。
でもそれだけならば、短期的な株価材料にしかなりません。企業の投資価値が変わらなければ、いずれ売られて元の株価に戻るでしょう。
自社株買いの意味は、「買って株価を押し上げる」ことではありません。「1株当たりの利益を増やす」ことにあります。
自社株を買うと発行済み株式数が減ります。会社の利益総額が変わらなくても、1株当たり利益が増えます。
1株当たりの利益が増えることを好感して株価水準が高くなることが期待されます。それが自社株買いによる株主へのメリットです。
自社株買いを簡単な話にたとえるならば……
少しわかりにくかったかもしれないので、たとえ話で説明します。
40個のケーキ(企業の純利益)を株主10人で均等に分け合うことを考えてください。
1人4個ずつもらえます。
ここで、企業が自社株買いを実施し、株主2人の株を買い取ったとします。
すると株主数は8人に減りますので、1人当たりのケーキの割り当ては5個に増えます。
このように自社株買いとは、株式数を減らすことで1株当たりの分け前を増やすことにあります。
(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)