ともすれば、東大の学生は「いかに勉強せずに合格したか」を子どもに自慢したりします。特に中学受験を目指す場合には、「何をやらせるか」より「どのようにやらせるか」のほうが大事です。

「自分がやってきたやり方」ではなく、その子にあった「やり方」を考えて、指導しなくてはならないのです。

 結局ほとんどの場合、問題をたくさん解かせて見ているだけ、暗記の語呂合わせを教えるだけ、みたいなことになってしまいます。「目の前の子どもがなかなか理解してくれない。ではどう教えればいいか」という引き出しを、普通の大学生はほとんど持っていないのです。

 スポーツでも、現役選手がいきなりコーチや監督になってもうまくいきません。引退後、指導者になるための勉強を積み重ねて、やっと指導者への道を踏み出すのです。

 これは家庭教師でも同じこと。大手塾の場合は、塾内で最低限の研修を行って講師を育成することが可能ですが、家庭教師の派遣会社ではそれがまったくないといっていいのです。自己研修ができないと、いつまでたっても素人のままです。

家庭教師の力量は親が見抜くしかない

 では、優秀で自分の子どもに合った家庭教師はどうやって選べばいいのでしょうか?

 実はこれ、とても難しい問題なのです。「東大に行ってる親戚のお兄ちゃん」ではダメだと書きましたが、家庭教師の派遣会社もあれば、個人で張り紙をしていることもあります。そこからどうやって力量を見定め、子どもと相性がいい人を探せばいいのでしょうか。

 本来なら、プロの家庭教師を名乗る以上、どんなタイプの子どもに臨機応変に合わせられることが基本ですが、こうした先生は数少ないというのが現状です。

「先生に来ていただくようになって3カ月以上たつけど、成績がまったく上がらないのですが」と派遣元の会社に電話しても、「相性もありますからね、先生を変えてみましょうか」などと逃げるところは、別の先生が来てもあまり変わらないでしょう。

 単に力量のない先生が多いのだと思います。「合わなければどんどん先生を変えていいですよ」などと堂々と謳っている会社も非常にあぶなっかしいと言えます。