性格診断によるラベル付けには
根拠がない?

 この16性格診断をマイヤーズ-ブリッグス・タイプ指標(Myers-Briggs Type Indicator:MBTI)だと説明しているサイトや記事もあるようですが、実際にはMBTIとは異なります。公式のMBTIはユングのタイプ論をもとに、国際規格に則って開発された性格検査で、日本では日本MBTI協会が管理しています。一方、16性格診断は手軽にオンラインで受けられるため、多くの人に親しまれていますが、公式なMBTIの厳格な評価プロセスとは異なります。

 会社員時代、私も会社の指示でMBTIを受けたことがあります。どんな結果だったかは忘れてしまいましたが、結果の詳しいレポートを読んで「確かに自分のことだ!」とうなずいたように記憶しています。似たような性格診断・検査では、個人の強みに焦点を当てた「クリフトンストレングス(旧ストレングスファインダー)」や、性格特性を分類する「トゥルーカラーズ」なども受けました。

 これらの診断ツールは個人の自己理解を深めることを目的としています。自分を理解するためにわかりやすいラベルを付けることは、必ずしも悪いことではありません。

 ただ、オンラインでお手軽に試せる性格診断のラベルは今、自己理解というよりは、「○○さんはあのラベルだから、××には誘わないでおこう」とか「○○さんはこのラベルだから、△△ラベルの××さんとは同席させないようにしよう」というように、他者を識別するために使われているようです。

 これらの性格診断によるラベル付けは、学術的な根拠があるように見えます。しかし他人を安易にラベル付けし、それで人を判断する用途で使うのなら、今となっては似非科学と広く認識される血液型診断と変わりません。

 血液型診断は、A・B・AB・Oの4タイプの血液型によって人の性格を分類するものです。かつては日本中で大ブームとなり、雑誌やテレビ番組で頻繁に取り上げられ、日常会話でもよく話題にされました。しかし血液型と性格の関連性には科学的な根拠が乏しく、現在では血液型診断は迷信や娯楽の一種と捉えられています。