全ビジネスパーソンが身に
付けるべきDXスキルとは
今、適切な人材配置が求められている領域の1つにDX(デジタルトランスフォーメーション)があります。DXはデジタル技術を用いた変革であり、企業や組織にとって重要な課題となっています。
DXには3つの主要な変革の側面があります。まずは技術の変革。これは最新技術の活用を意味し、AIやIoT、ビッグデータなどの先端技術を導入して、業務の効率化や新しいサービスの創出を図ることが求められます。
次に、ビジネスの変革です。これは従来の慣習にとらわれないビジネスモデルの構築を指します。企業は市場の変化や顧客のニーズに柔軟に対応し、新しい価値を提供するビジネスモデルを開発する必要があります。
最後に、人と組織の変革です。これは組織全体が新しい働き方や考え方を受け入れ、変革を推進するための文化を醸成することを意味します。そのために従業員が新しい技術やプロセスを学び、適応するためのトレーニングや支援が不可欠です。
適切な人材配置は、これらの変革を効果的に進めるための鍵となります。
DXのための人材とはどういうものか、公的機関である情報処理推進機構(IPA)が定義した「デジタルスキル水準(DSS)」という基準があります。DSSには、全てのビジネスパーソンが身に付けるべき能力・スキルを定義した「DXリテラシー標準(DSS-L)」と、企業や組織でDX推進を主にけん引する5類型の人材区分を定義した「DX推進スキル標準(DSS-P)」の2種類があります。
DXリテラシー標準(DSS-L)では基本的なDXリテラシーを定義しており、デジタル技術に関する基礎知識やデジタルツールの活用方法、デジタル時代に必要な思考様式などが含まれます。
一方、DX推進スキル標準(DSS-P)は、DXを推進するために必要な専門的なスキルや役割を明確にし、DXを支える5つの専門職(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、サイバーセキュリティ)のスキルセットを示しています。
このうちのビジネスアーキテクトには、近年私が重要性を啓蒙してきた「プロダクトマネージャー」との共通性があります。そこで2024年度のDSSの改訂では、プロダクトマネージャーの定義がビジネスアーキテクト類型に補記として追加されることになりました。