「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の書籍「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。
時間制限、文字数制限を考える癖をつける
あれもこれも語りたくなってしまう……。もしかしたら、その原因は、あなたの“時間への意識”の薄さにあるかもしれません。
大切なのは、自分が「何十分でも話せる」「何枚でも書ける」と、考えないことです。
おすすめの対処法は、話す時や書く時に、時間に制限を設けるというもの。たとえば、「1分しか話せないとしたら、どの要素を省こうか?」「300文字以内にまとめるとしたら、どの情報が不要か?」という風に、「限りがある」ということを意識してみてください。
もちろん、もともと「スピーチは3分で」「1000文字で」のように、時間や文字数が決まっている場面もあるでしょう。しかし、そうした制限がないとしても、あえて時間や文字数に制約を設けることで、捨てる情報と残す情報を見極めやすくなります。
具体化したものを再度、抽象化するのも手
また、短く端的に伝えるには、一度具体化したものを再度、抽象化するのも手です。
たとえば、上司のAさんがどんな人か、という情報を下記のように具体化できたとします。
・Aさんは社長にもビルの警備員さんにも態度が変わらない。
・Aさんは男性にも女性にも同じようにチャンスを与える。
・Aさんは数字を細かく見て評価する人だ。
これを一言で表すなら「Aさんはフェアな人だ」となります。
せっかく具体化して解像度を上げたのに、伝える時に抽象的な表現になるのはもったいない気がするかもしれませんが、時間や文字数が限られている時には、抽象度を上げた言葉にして伝えるほうが、真意が伝わりやすいこともあります。
一度具体化したものを、要約して抽象度を上げる時には、まず具体化した情報の「共通点」を見つけます。次にその共通点を表すのにぴったりの表現を探していくのがコツです。上記の例では「フェアである」という言葉がそれです。
ぴったりの表現を見つけるには、STEP1の語彙力があることが大前提ですが、仮に語彙力が低かったとしても、ここでぴったりの表現を探すことによって語彙力を高めることができます。
*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。