重要な意思決定ができ
AIを使いこなせるコンサルは生き残る!
AIの導入が進めば、コンサルティング企業はダウンサイジングを余儀なくされ、価格もそれに並行して低廉になっていくと考えられます。コンサルタントは人気の高い業界ですが、同時にAIに職場を奪われる脅威を感じている人も多そうです。
たとえば世界4大会計事務所のひとつ、KPMGでは、AIを使った監査の不正発見や効率化などを進めていると言います。このような姿を内側から見ているほうからすれば、やがて自分の「椅子」も……と考えるのは無理もありません。
コンサルタントと言っても業態はさまざまで、まさにコンサルタントのみに特化している企業もある一方、システムなどのカスタマイズまで丸抱えで受注しているところ(ITコンサル)もあります。もし今後、AIの発展と使いやすさの充実で、一般企業であろうと比較的簡単に自社向けのシステムがカスタマイズできるようになれば、ITコンサルは大きな影響を受けることが考えられます。
一方で、私は「コンサルタント」という仕事自体はAIの影響をあまり受けないと考えますし、むしろコンサルタント業界全体では、業容の変化はあっても伸びていく可能性さえあると見ています。
さまざまな企業でホワイトカラーが仕事を失うなかで、全体としては小さな意思決定をする業態が生まれていきます。究極的には一人ですべてを行うことになります。
意思決定をすることの大切さは当然ですが、その意思決定が正しいかは、むしろ一人で考えれば考えるほど不安にもなりますし、そもそも客観的にあらゆる可能性を想定したうえで判断を下せるのか、強い自信を持てる人は多くはないと思います。
もはやAIがあるのだから、AIに尋ねてみて「穴」がないかチェックすることもできるでしょう。あるいは、AIによるコンサルティングサービスも生まれるかもしれません。
ただここで、本当に重要な最終決断までをすべてAIに頼って決めていいのか、という疑問が生まれると思います。人と人をつないでくれたり、意思決定を助けてくれたりする存在として生身の人間に相談し、アドバイスを受けたい、またはよりAIを活用するために相談したいというニーズはむしろ増えるとさえ考えられます。
一方、供給側のコンサルタントも、今後は細分化、小規模化し、かつそれぞれが意思決定の主体となる顧客に合わせて、安い価格で意思決定のサポートをするスリムな業態であれば、ニーズにマッチするのではないでしょうか。
つまり、大きなコンサルを脱して自ら経営者となり、自分の意思決定も顧客の意思決定のサポートもできる小さなコンサルがたくさんでき、AIを活用しながら競争を繰り広げるのではないかと予想します。あるいは、それができる人こそ、本当のコンサルタントではないでしょうか。