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コミュニケーションがうまい人は、繰り出すワードセンスも絶妙なことが多い。会話の中でインパクトのある言葉が出せるようになると、場を盛り上げたり、人とは違った存在感を示したり、強烈な印象を残せるようになるだろう。本記事ではそんな「ワードセンス」に溢れる詩歌をクイズ形式で紹介する。先人の例に学び、現代にも使えるユニークなワードセンスを鍛えよう。※本稿は、齋藤 孝『「いいね!」を集めるワードセンス』(筑摩書房)の一部を抜粋・編集したものです。

詩歌に出てくる言葉から学ぶ
詩人たちのワードセンス

問1 肺結核で病床にある正岡子規が、自分では見ることができない雪の深さを、家族にたずねている俳句です。

□□□□も雪の深さを尋ねけり
(編集部注 □はひらがな、■は漢字。以下、同)

 すべてひらがなです。雪の様子を確かめたくても、自分はできない。寝たきりのもどかしさを想像してみましょう。正岡子規は明治時代に活躍した俳人、歌人です。肺結核のため34歳の若さで病死しています。

問2 岐阜県の長良川で行われていた鵜飼を初めて見た松尾芭蕉の感想です。鵜飼見物のあと、暗い夜道を帰る芭蕉の心情を想像してみましょう。

面白うてやがて■□□鵜舟かな

 この句をつくる時、芭蕉はある謡曲を思い浮かべたといわれています。それは禁漁中に漁をして、川に沈められた鵜匠の話です。鵜匠の亡霊があらわれて、鵜飼の技を見せ、やがて名残惜しそうに闇夜に消えていくさまが歌われています。この謡曲がヒントです。

普段使うあの言葉、実は建築用語
数字を使ったフレーズたち

問3 政治家が「1丁目1番地」という言葉を使いたがることを川柳にしてみましょう。

政治家は□□■■に本丸へ(齋藤 孝作)

 最初の2文字はひらがな後ろの2文字は漢字です。「1丁目1番地」はまっ先にやらなくてはいけないことを言います。

 ちなみに「いの一番」は建築用語で、一番はじめに建てる柱のことです。横方向は「い・ろ・は……」、縦方向は、「一・二・三……」と、柱の位置の番号が決められていました。

問4 石川啄木が少年の心を歌った有名な短歌です。(石川啄木『一握の砂』「煙」)

不来方のお城の草に寝ころびて/■に吸はれし/■■の心

「不来方城」は盛岡城のことです。まだ15歳だったころ、お城の草むらに寝ころぶと、大空が見えて、自分の心も吸われてしまったようだった、と歌っています。後ろの■■には漢数字が入ります。

答え
問1/いくたび
問2/悲しき
問3/いの一番
問4/空、十五