1970年代、廃線の危機をSLで回避

 大井川鐵道は東海道線金谷駅から大井川沿いに北上する路線を持つ民営鉄道だ。金谷と林産資源の集積地・千頭を結ぶ陸路(現在の国道473号線)は地蔵峠を始め峠道の連続で難所が多く、川沿いをショートカットして結ぶ鉄道建設構想は歓迎された。大井川本線(39.5キロ)は1927年に金谷—横岡間が部分開通、1931年に千頭まで全通した。また、戦後の1954年に中部電力所有のダム建設資材運搬鉄道千頭—井川間の運行を引き継いで井川線とし(1990年に路線の付け替えを行い、現在25.5キロ)、合計65キロの路線を持つ。両線のレール幅はJR在来線と同じ1067ミリで同じだが、井川線の車体は小型の森林鉄道規格であるため列車の直通はない。

国道473号線地蔵峠から、遠くに金谷市街地を望む。鉄道開通前は、これら険しい道を徒歩で行くか、川をプロペラ船で遡るしか交通手段がなかった。大井川鐵道の線路は、眼下の河原に沿って敷かれている Photo by F.T.国道473号線地蔵峠から、遠くに金谷市街地を望む。鉄道開通前は、これら険しい道を徒歩で行くか、川をプロペラ船で遡るしか交通手段がなかった。大井川鐵道の線路は、眼下の河原に沿って敷かれている Photo by F.T.
井川線は小さなディーゼル機関車が客車を牽く Photo by F.T.大井川本線の電車。大手私鉄の中古車が導入され「電車の博物館」とも言われた。写真は元近鉄南大阪線の特急電車 Photo by F.T.
大井川本線の電車。大手私鉄の中古車が導入され「電車の博物館」とも言われた。写真は元近鉄南大阪線の特急電車 Photo by F.T.井川線は小さなディーゼル機関車が客車を牽く Photo by F.T.