正解:業績悪化が続く可能性が高い。買いは見送り。

「棚卸資産の増加」は経営悪化シグナル

 棚卸資産とは在庫のことです。

 G社のバランスシートを見ると、棚卸資産が10億円増加(20億円→ 30億円)していることがわかります。

 そのため、短期借入金が5億円増加(20億円→25億円)し、現預金が5億円減少(10億円→5億円)しています。

 売上も売上債権も増えていないのに在庫だけ増加していることから、「意図せざる在庫」「不良在庫」が増えていると考えられます。

「在庫比率の悪化」を見落とすな!

 在庫比率を計算してみましょう。

在庫比率(%)=期末在庫÷売上高×100

第56期の在庫比率
=20億円÷120億円×100
=16.7%

 

第57期の在庫比率
=30億円÷110億円×100
=27.3%

 在庫比率が10%以上も上昇していることがわかります。

 在庫管理に失敗したのは明らかです。急な売上減少に対応した減産(生産を減らすこと)ができていません。

 今後、在庫を減らすために、減産が必要になるでしょう。

 工場停止があれば、業績が一段と悪化します。在庫調整が済むまで、業績の回復は期待できません。

新年度の売上高が大幅に増加するならば問題ないが……

 G社の在庫は、20億円→30億円と5割増加しています。

 売上が新年度に5割増えることが確実で、それに備えて在庫を意図的に増やしているのならば、問題ありません。

 ただ、それだけ急激な売上の成長が確実ならば、買掛債務や売掛債権も増えているほうが自然です。

 在庫だけ大幅に増えているのを見ると、意図せざる在庫が積みあがっていると判断したほうが良さそうです。

 決算説明会では、在庫の増加要因についてなんらかの説明があるはずです。企業のHPに出ている決算説明会資料などで確認しましょう。

(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)