お土産、お菓子を配るのをやめるには

 個人ができることとして、まずはあなたからお土産やお菓子を配るのをやめてみてはどうか。同僚と一緒にやめてみるのもよい。

 加えて、休暇明けに「ご迷惑をおかけしました」と言うのもやめる。代わりに「リフレッシュできました」と笑顔で言おう。
 病欠明けであれば「おかげで回復しました」「家族の体調も良くなってきました」くらいで済ませる。それは同調圧力に対し「自分は賛同しません」「自分は染まりません」と意思表示する意味もある。手始めに次の休暇明けからチャレンジしてみよう。

「私が好きでやっているだけなので」と強調する

 とはいえ冒頭で伝えたように、土産やお菓子が職場のコミュニケーションを円滑にするのも事実。人手が足りていない職場では、一人の休暇が周りに影響を及ぼすケースも実際にはあるだろう。お菓子一つで良い人間関係を維持できるならば安いものではないか。そのような考えもある。

 その場合、お土産配りはあくまで自分が好きでやっているのだと伝えよう。
 または、

「自分が食べたいので」
「皆にも味わってもらいたいと思ったので」

 など前置きして配る。
 本人の趣味でやっているなら、とやかく言われる筋合いもないし、他者に同じ行動を強いる空気を和らげることもできる。場合によっては「他の人は無理してやる必要はない」とも伝えよう。

「ご自由にお取りください」のスタイルにする

 フロアの共用部やカフェスペースなどにお土産やお菓子を置き、その写真と一緒に「帰省先で買ったお土産です。カフェスペースに置きましたのでご賞味ください」と、チャットやメールで連絡するのもおすすめだ。
 その際、メッセージに工夫を凝らすのもポイント。

「地元で大変人気と評判のお饅頭を見つけました」
「ちょっと変わったお菓子を見つけたので」

 このように色を添えると、手渡しでないと気持ちが伝わらないと主張するマナー論者にも受け入れられるかもしれない。

 なお筆者は勤め人時代(ほぼフル出社していた頃)、「お土産を買ってきました。僕のデスクに置いたのでご賞味ください」と案内し、取りに来てもらうスタイルを実行したことがある。

 休暇明けのみならず、たまたまおいしそうなお菓子を見つけたときなどにもやっていた。さすがに黙ってお菓子を持っていく人はおらず、取りに来たついでに何かしらの会話が発生する。自分から声をかける手間が省け、かつ職位やチームをまたいだコミュニケーションのきっかけにもなるのでオススメである。

一歩踏みだす!
・まずはあなたから、お土産、お菓子配りを止めてみる
・「迷惑かけました」ではなく「楽しんできました!」と伝える
・配るときは、自分が好きでやっていると強調する

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員
日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『新時代を生き抜く越境思考』『バリューサイクル・マネジメント』『職場の問題地図』(いずれも技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など、著書多数。趣味はダムめぐり。#ダム際ワーキング 推進者。