「仲良くない人と7時間話さないといけない」特異な状況

 ここで重要なのは、お客さんを拘束することのできる「時間」です。

 料亭での接待は、他の接待とも同様に、せいぜい3時間程度が限界です。

 一方で、ゴルフは違います。ゴルフは朝の8時に集合して、終わるのは早くて15時くらいというケースが多いです。つまり、7時間以上同じ空間を共有することになります。

 ここでたとえば、友人と7時間ずっと一緒にいることを想像してみてください。会話のネタは続くでしょうか。これについては続くと答える人がおそらく多いと思います。

 では、取引先の人とではどうでしょうか。7時間もの長時間、会話を保たせることのハードルは極めて高いように感じられませんか。

「互いに会話に困る」状況の意外なメリット

 実はこれは、自分サイドだけの話ではありません。話し相手であるお客さん側も「全く同じような状況になっている」というのがミソです。つまり、お互いが会話に困っているのです。

 その結果、お互いに会話のネタを無理して作ろうとし始めます。7時間もあるので、話題は通常の会食で出てくるようなネタだけではなく、よりプライベートな内容になっていくのです。家族構成やプライベートな趣味…人によっては子どものお受験の悩み相談等もするようになってきます。つまり、お互いに「強制的にプライベートな話題を交わす状況」をつくることができるのがゴルフの力です。こうした時間を過ごすことを通じて、徐々に、お互いが「言いにくいことも言いやすくなる関係」になっていきます。

ゴルフが「コスパが良い」と言える理由

 では、もし同業他社の営業マンがお客さんと何度もゴルフに行っていたとしたら、あなたはどうやってその取引先と関係性を深めるでしょうか。あなたが信頼に足る人物だと、どのように相手を説得しますか。

 もちろん圧倒的な能力と絶え間ない努力で同業他社よりも良い提案をすることも不可能ではありません。

 しかし、ゴルフはたった7時間でその努力を超えるほどの関係性をつくることができます。これはビジネスにおいては決定的な差です。当然、出世や案件獲得に有利になります。

 実はゴルフは、取引先からの信頼・評価を勝ち得るためには、非常にコスパが良いツールだと言えるのです。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』に関する特別な書き下ろし原稿です)

著者:最短出世中・現役エリートメガバンクブロガー たこす
本部公認で副業としてブログを運営する、年収1400万円の現役メガバンク行員。10年以上メガバンクという極限の環境で生き残り、最短で出世街道を歩んでいる。新卒で配属された支店で猛烈なパワハラ上司に理不尽に詰められ続ける過酷な労働環境の中、理系的な分析手法によって独自の「高コスパな仕事術」を編み出す。証券会社に出向して花形の投資銀行業務に携わった後、銀行に戻って上場企業を中心とした大企業営業を経験。現在も本部勤務を続けている。