要するに、疲労や肥満を呼ぶのは糖質であり、アルコール成分ではありません。

 焼き鳥、刺身、冷や奴、枝豆、鍋……など糖質の少ないメニューをおつまみに、お酒を飲んで夕食を終わらせる人は太りません。

 お酒を飲まずに米飯をたくさん食べる人が太るのです。

 加えて、お酒を飲まない人たちの夕食は短時間で終了します。

 同じものを食べるのでも、時間をかければ血糖値の上昇は緩やかになります。お酒を飲みながらゆっくり食べることが、健康維持にも疲労回復にも繋がります。

 また、信頼の置ける研究で、アルコールは体内のAGE(編集部注/糖が過剰にこびりついて本来の機能を失ったたんぱく質)を半分近くにまで下げるという報告もなされています。

 こうしたことから、飲める人は大いに飲んだらいいと私は思っています。

 もちろん、アルコールをミラクルフードにできるのは、「飲める体質の人」という前提があります。

 アルコールは「アセトアルデヒド脱水素酵素」によって分解されますが、日本人にはこの酵素の活性がまったくない人が約4%います。活性はあるけれど弱い人が約40%。残りの約55%は欧米人と同じように飲めるタイプです。

 では、多数派はどれかといったら55%の飲める人たちです。それなのに、弱い人たちが結構いるためでしょうか、日本では「お酒は体に良くないもの」という思い込みが浸透しているように思えます。この思い込みによって、飲める人たちまでもがセーブしているのは残念な話です。

 なお、ウイスキー、ジン、焼酎などの蒸留酒に糖質はほぼ含まれません

お酒を飲むときは水も飲んで
血中アルコール濃度を薄めよう

 醸造酒であるワインや日本酒には、わずかに糖質が含まれますが、血糖値を上げるほどではありません。むしろ、健康にいい効果があるのでおすすめです。

 2004年に行われたドイツの研究では、白ワインに痩せる効果があることがわかっています。おそらく、白ワインに含まれる「酒石酸」という成分の働きによって血糖値が下がるからではないかと推測されています。